九州大学大学院総合理工学研究院の森田太智助教と山本直嗣教授は、大阪大学レーザー科学研究所、パデュー大学、光産業創成大学院大学、広島大学、明石高専と協力して、プラズマロケット磁気ノズルのレーザー生成プラズマ噴出方向の制御に成功したことを明らかにした。

 有人火星探査が現実味を帯びる中で、その課題も明らかになってきた。従来までの化学ロケットでは、火星までの往復に長時間を要し、宇宙船乗務員・乗客には心理的な負担に加えて宇宙線被曝、骨密度減少など大きな負荷がかかる。そのため、化学ロケットに代わる高速の宇宙船・ロケットが求められてきた。この要望に応えられる高速の宇宙船が、レーザー核融合ロケットだ。

 レーザー核融合ロケットは、磁場で核融合プラズマを制御して排出することで推力を得るもので、将来の高出力・低燃費ロケットとして有力な候補である。九州大学では30年ほど前からレーザー核融合ロケット実用化の研究が進められ、近年は大阪大学と共同研究で、実験的に、核融合ロケットの原理・実証試験が可能になったという。
そして今回、レーザーを固体に照射して生成したプラズマと、複数の電磁石を組み合わせた磁気ノズルを用いて、磁場で排出プラズマの方向制御が可能であることをはじめて実験的に実証した。さらに、プラズマの膨張過程を数値シミュレーションで計算することで、本手法の原理が実証可能であることを確認した。

 この手法を用いると、補助的なエンジンなしで方向制御が簡易に行える。研究グループは今後、実機で想定されるような大きなエネルギーを用いたプラズマロケット磁気ノズルの原理実証を目指し、さらに研究を進めていくとしている。

論文情報:【Scientific Reports】Control of unsteady laser-produced plasma-flow with a multiple-coil magnetic nozzle

大阪大学

一人ひとりの「真価」を、阪大の「進化」に。地域に生き世界に伸びる大学へ

大阪大学は、11学部23学科を有する研究型総合大学。1931年の創設以来、「地域に生き世界に伸びる」をモットーに、高度な教育研究力、教職員の和の力、そして伝統の重みと大阪という地の利が織りなす卓越した「基盤」と「力」を有しています。これらの優れた潜在力を活かし[…]

九州大学

未来を切り拓く「総合知」を生み出し、社会変革を牽引する大学

九州大学は、12学部19学府を擁する基幹総合大学。世界最高水準の卓越した教育研究活動を展開し国際的な拠点となり得る「指定国立大学法人」として指定を受けました。これまで培い蓄積した人文社会学系から自然科学系、さらにはデザイン系の「知」を組み合わせた「総合知」によ[…]

広島大学

自らの人生をデザインするための学び。100年後にも世界で光り輝く大学

「平和を希求する精神」「新たなる知の創造」「豊かな人間性を培う教育」「地域社会・国際社会との共存」「絶えざる自己変革」の5つの理念の下、12学部4研究科1研究院を擁する総合研究大学。教育力・研究力を両輪とした大学改革を推進しながら、グローバル人材を持続的に輩出[…]

大学ジャーナルオンライン編集部

大学ジャーナルオンライン編集部です。
大学や教育に対する知見・関心の高い編集スタッフにより記事執筆しています。