2023年3月29日、大阪大学大学院工学研究科は、株式会社島津製作所、伊藤ハム米久ホールディングス株式会社、凸版印刷株式会社、株式会社シグマクシスと「培養肉未来創造コンソーシアム」を設立した。

 「培養肉未来創造コンソーシアム」は、「3Dバイオプリントによる食用培養肉製造技術に関する社会実装の具体的な取り組み」が目的。企業を超えた協業により「3Dバイオプリント技術の応用開発」「生産・流通までの一貫したバリューチェーンの確立」「省庁や民間企業との連携による法規制整備への貢献」を進め、また、2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)での展示など「生活者の理解促進につながる情報発信」に注力し、世界に先駆けての培養肉食用化の実現を目指す。

 大阪大学が開発した3Dバイオプリント技術は、筋肉組織構造を自在に作製するもので、食糧や再生医療、創薬分野での利活用が見込まれている。2021年8月に、大阪大学と凸版印刷らは、筋・脂肪・血管という異なる線維組織を3Dプリントで作製し、それらを束ねて統合する技術について論文を発表。この技術をベースにして、大阪大学、島津、シグマクシスは2022年3月に「3Dバイオプリント技術の社会実装」に向けた協業契約を締結し、実用化への取り組みを開始した。

 今回設立する「培養肉未来創造コンソーシアム」は、これらの協業を長年に渡り培った食肉の知見を有する伊藤ハム米久が参加することでさらに発展させ、技術開発を加速するもの。設立に先立ち、2023年1月、大阪大学、島津、伊藤ハム米久、凸版印刷、シグマクシスの5者は「3Dプリントによる食用培養肉技術の社会実装」に向けた合意書を調印し、活動に向けた体制を構築した。

 また、コンソーシアム設立に合わせて、大阪大学、伊藤ハム米久、凸版印刷は大阪大学吹田キャンパス内に「培養肉社会実装共同研究講座」を開所。この共同研究講座および2019年12月に設立した「大阪大学・島津分析イノベーション協働研究所」が、本コンソーシアムの研究推進拠点となる。

参考:【伊藤ハム米久ホールディングス株式会社】大阪大学・島津製作所・伊藤ハム米久・凸版印刷・シグマクシスが「培養肉未来創造コンソーシアム」を設立 研究推進拠点を大阪大学に設置

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