東北大学と日本電気株式会社(NEC)は、量子アニーリングマシンを活用したSI(システムインテグレーション)実務の高度化を推進する共同研究を開始した。
SIビジネスには、2025年にIT技術者43万人の人材不足、膨大なソフトウェア・サービスへの対応、生産性の向上による企業価値の強化、などの事業課題がある。これらの課題に対して、NECでは「SI支援AIシステム」(AIを活用したSI技術の高度化)の研究開発を進め、SIビジネスのデジタルトランスフォーメーションに取り組んでいる。
今回の共同研究は、このSI支援AIシステムで必要となる膨大なソフトウェア・サービスの組み合わせ最適問題計算や、膨大な学習データの作成に量子アニーリング(量子効果を利用した最適化技術)を活用することで、SIビジネスのスピードに対応できるシステムの実現を目指すものだ。
NECでは、顧客要件の情報を元にシステム設計を自動化するAIを開発しているが、要件を最も満たす組合せ(最適解)の発見に膨大な時間がかかる。今回の共同研究により、制約条件を量子アニーリングで高速に求解し、最適化されたシステム設計を高速に導出することを目指す。
今回、量子アニーリングを活用してAI実務に関する学習データの拡充についての研究を行う。量子アニーリングマシンの確率的な動作を活用し、予測可能な生成ルールが存在しないが、学習データとしての条件は満たしているデータを作成する。
NECの実務経験で形式化されたSIビジネス課題の量子アニーリングによる解決に共同で取り組み、その結果を東北大学とNECで共有し、量子コンピューターによるSI支援AIシステムの実用化を加速する予定という。