感染症病床を持つ全国372の指定医療機関のうち、約4分の1が河川計画の基準となる洪水で浸水が想定されることが、京都大学防災研究所の野原大督助教、角哲也教授らの研究グループによる調査で分かった。想定される最大規模の洪水だと、浸水は約3分の1に増え、一部は最大浸水深が10メートルを超え、医療機関内の対策だけで対応できない可能性もある。

 京都大学によると、調査は厚生労働省のホームページに掲載されている特定感染症、第一種感染症、第二種感染症の各指定医療機関合わせて372施設が対象。国土地理院が公開しているハザードマップを使い、河川計画の基準となる洪水と想定される最大規模の洪水でどの程度浸水するのかを調べた。

 浸水が想定されるのは、計画規模の洪水だと全体の25.6%、最大規模の洪水だと33.6%に達した。5メートル以上の浸水が見込まれる施設は、計画規模で3.0%、最大規模で9.7%に達する。このうち、感染症患者の入院を担うなど、感染症対策の拠点となる特定感染症、第一種感染症指定医療機関57施設をみると、計画規模の洪水で29.9%、最大規模の洪水で45.6%が浸水することが分かった。

 研究グループは、全国各地で頻発している洪水が発生した場合、感染症対策の拠点病院が浸水でマヒする可能性が小さくないとみており、感染症病床の上層階への設置など対策を検討する必要があるとしている。

論文情報:【京都大学防災研究所・水資源環境研究センター】全国の感染症指定医療機関の浸水想定状況の調査報告

京都大学

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