長崎大学の研究グループは、海洋中のプラスチックが仔魚の生存に与える影響について、「プラスチックの大きさ(マイクロ/ナノ)」と「摂取経路(直接/餌経由)」の2つの要素を組み合わせて検証した。その結果、ナノプラスチックを餌経由で摂取した場合に、仔魚の生存率が最も低下することが示された。
海洋に流出したプラスチックごみは、波や紫外線によって5mm未満のマイクロプラスチックや1µm(1/1000mm)未満のナノプラスチックへと細かく分解される。海水中を漂うこれらのプラスチック粒子は、多様な生物により摂取されていることがわかっているが、「どの大きさのプラスチックがより危険なのか」、また「どのような経路で体内に取り込まれたときに最も深刻な影響を与えるのか」については、十分な知見が得られていなかった。
そこで本研究グループは、マダイ仔魚を対象に、直径3µmのマイクロプラスチックおよび0.2µmのナノプラスチックを用い、①水中に浮遊する粒子をそのまま飲み込む「直接摂取」と、②粒子を取り込んだワムシ(仔魚の餌となる動物プランクトン)を捕食する「間接摂取」の2つの経路による影響を比較・評価した。
その結果、ナノプラスチックを摂取した仔魚では、マイクロプラスチックを摂取した場合に比べて生存率が低下することが確認された。さらに、水中から直接ナノプラスチックを飲み込んだ場合よりも、餌を介して摂取した場合に、生存率が最も低くなることが明らかとなった。
加えて、ナノプラスチックを間接摂取した仔魚では、酸化ストレスに関連する酵素応答の変化や、免疫反応およびストレス応答に関わる遺伝子の変動が認められ、生理的負荷が高まっていることも示された。
これらの結果から、プラスチック粒子の影響はそのサイズだけでなく、体内に取り込まれる経路によっても左右されることが明らかとなった。特に、餌を介した摂取によって仔魚の生存率が大きく低下するという結果は、食物連鎖を通じてプラスチックの影響が増幅される可能性を示しており、将来の漁業資源や沿岸生態系の健全性に関わる深刻な問題である。
今後は、今回明らかになった影響が生じる体内メカニズムなどの解明を進めていくとしている。
