琉球大学、沖縄美ら島財団、南西環境研究所、森林総合研究所の研究グループは、沖縄島北部やんばるの世界自然遺産地域に侵入した国内外来種であるニホンジカの糞を分析し、同定した植物28種の中に絶滅危惧種が含まれていることを明らかにした。
2024年10月に、沖縄島北部やんばるの世界自然遺産地域を走る県道でシカが目撃された。糞の分析により、宮城県金華山島由来の系統と判明。人為的に持ち込まれ、やんばるに逃げ出したか放逐された個体であることが示された。沖縄島にはシカ類などの大型草食獣は分布していないため、在来植物への影響が懸念された。
研究グループは、ニホンジカの由来を調べたものと同じ糞塊を用いて、糞内容物に含まれる植物の種類の同定を試みた。この食性解析には、サンプル中DNAの網羅的解析により一度に複数の生物種を同定するDNAメタバーコーディング法を適用した。
その結果、被子植物24種、シダ植物4種の計28種もの植物が検出された。その中に、環境省のレッドデータブックで絶滅危惧IA類指定のリュウキュウホウライカズラも含まれていた。これは沖縄島北部、渡名喜島、沖永良部島、喜界島のみに分布する中琉球の固有種で、石灰岩上や樹上に生育する。生育地が限られており、絶滅が危惧されている。
この結果は、やんばるに侵入したニホンジカが多様な植物を採食することで、絶滅危惧種の保全上の懸念が高まることを示唆している。研究グループは、やんばる地域での一刻も早いニホンジカの防除とともに、世界自然遺産地域への国内外来種の侵入を防ぎ、侵入が確認されたときには迅速に対応できる制度の整備が必要としている。
