山口大学共同獣医学部の日暮泰男助教と学部6年生(当時)の戒能靖史さんらの研究グループは、ネコの胸椎が非常にねじれやすく、立ち直り反射(いわゆる「ネコひねり」)に有利に働く可能性があることを見出した。

 ネコは高い所から落ちる際、空中で体勢を立て直し、足から安全に着地できることが知られている。この能力は学術的には「立ち直り反射」と呼ばれ、すべての動物に備わっているわけではなく、たとえばイヌでは見られない。しかし、ネコがどのように体を使ってこの動きを実現しているのかは、十分に明らかになっていなかった。

 そこで本研究では、ネコの脊椎(背骨)のうち胸椎と腰椎に着目し、それぞれがどの程度ねじれるのかを定量的に測定した。
 山口大学に寄贈された5匹のネコの検体から胸椎と腰椎を採取し、荷重試験機を用いて一方向にねじり、破断に至るまでの力とねじれた角度の関係を明らかにした。胸椎では片側47度(両側で約94度)までほとんど抵抗が生じない「ニュートラルゾーン」が存在した一方、腰椎ではこの領域はほとんど見られず、強い抵抗が生じた。

 また、最大のねじれ角度は胸椎で片側171度に達した一方、腰椎では57度にとどまり、胸椎の方が大きくねじれることが示された。

 さらに、生体の「ネコひねり」を連続撮影して観察したところ、頭部を含む上半身の回転が下半身よりも先に完了することが確認された。これらの結果から、胸椎の高いねじれやすさが「ネコひねり」を可能にする要因の一つであると考えられた。

 今後は、このようなネコの体の力学特性を正確に反映した数理モデルを構築することで、ネコが空中でどのように体を制御しているのかの解明が進むことが期待される。

論文情報:【The Anatomical Record】Torsional flexibility of the thoracic spine is superior to that of the lumbar spine in cats: Implications for the falling cat problem

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