上智大学総合人間科学部の石井由香理准教授らの研究チームは、全国の福祉事業所を対象に、トランスジェンダー等の要/被保護者に対する相談対応に関する調査を実施した。

 セクシュアル・マイノリティが差別を受けない社会の構築には、国民の理解、公的制度の運用者の十分な知識、組織の支援体制が必要となる。そこで、研究チームはトランスジェンダー等の要/被保護者に対する、福祉事務所での相談対応の実態把握を目的に調査を実施した。

 その結果、性的マイノリティに関する研修を実施したことがない事務所は103(68%)で7割近くに上った。1年に1回以上の実施は25(16%)、数年に1回程度が16(11%)、それ以下が4(3%)だった。

 また、116(全体の76%)の事務所が性的マイノリティへの相談対応に関連するガイドラインを作成・活用していなかった。公共機関作成のものを用いているのが13(42%)、独自のガイドラインを作成・活用しているのが3(10%)、男女共同参画センター作成のものを活用している事例もあった。

 さらに、トランスジェンダー等の被保護者を含む世帯数については、担当している事業所は全152ケースのうち10%程度だった。また、43%のケースで無回答、13%のケースで0世帯、35%で1世帯以上9世帯以下、9%で10世帯以上を担当していた。世帯数の回答があった中では20%程度の福祉事務所が、10世帯以上を担当していた。

 今回の結果から、トランスジェンダー等への対応は、実質的に各福祉事務所の現場裁量に任されていることが判明。石井准教授は、今後ガイドラインやマニュアル、定期的な研修などによる職員の知識向上や、支援団体との連携強化による相談しやすい環境づくりが重要となると述べている。

参考:【上智大学】トランスジェンダー等の人びとへの生活保護サービスの質は各福祉事務所任せ-福祉職員への研修体制の整備が今後の課題に(PDF)

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