慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科の矢向高弘教授らの研究グループは、ゴミ収集車において、ディーゼル車よりも燃料電池車を使用した方が、運転者や作業者の生理的負担が軽減される可能性を明らかにした。

 物流や廃棄物収集の現場では、車両から発生する振動や騒音が作業者の身体的負担を増大させることが指摘されている。一方、燃料電池車などの電動車両は、CO₂排出削減など環境性能の観点から評価されてきたものの、働く人の負担軽減や労働環境改善への効果については十分に検証されていなかった。

 そこで本研究では、実際のゴミ収集業務の現場において、ディーゼル車と燃料電池車で作業者の生理的負担が異なるかを比較した。ゴミ収集車の運転者および同乗作業者の心拍変動(HRV)を計測し、生理的疲労の指標としてRMSSD(Root Mean Square of Successive Differences)を用いて分析した。

 その結果、燃料電池車を使用した場合、ディーゼル車と比べてRMSSDは運転者で平均約60%、同乗作業者で約20%改善し、顕著な差異が確認された。この結果から、研究グループは、燃料電池車が持つ低振動・低騒音といった特性が、乗員の生理的負担の軽減に寄与する可能性があると考察している。

 本研究は、実際の業務環境において、燃料電池車が作業者の生理的負担に与える影響を実証した貴重な報告である。廃棄物収集車に限らず、物流車両や公共交通、建設機械など幅広い「働くモビリティ」において、環境性能と労働環境の改善を同時に実現し得る技術的根拠を示す成果として期待される。

参考:【慶應義塾大学】水素で動く燃料電池ゴミ収集車が“働く負担”を軽減 -ディーゼル車に比べて作業者の生理的疲労が約60%以上低いことを確認-

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大学ジャーナルオンライン編集部

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