中部大学は東邦大学、千葉工業大学と共同で、熟練ドライバーほど必要なときだけ効率よく注意を集中させる「注意にからむ脳資源の最適化」が進んでいることを明らかにした。
人間の脳には、大量に入ってくる感覚情報の中から必要な情報だけを選択し、不要な情報を抑える、「Alpha Gating(アルファゲーティング)」と呼ばれる仕組みがある。車の運転では、この働きは熟練ドライバーほど効率的に機能すると考えられているが、経験によってこの機構がどのように変化するかを実験的に示した研究はほとんどなかった。
研究グループは今回、24名のドライバーを対象に、「熟練ドライバー」と「初心者ドライバー」に分類。実際に運転操作を行う課題、運転時に撮影した映像を見るだけの課題の2種類を実施し、後頭部の脳波を解析した。
その結果、熟練ドライバーでは、運転操作が必要になると認知活動とAlpha Gatingに関わる後頭野のα帯域活動が大きく低下し、視覚情報の入力を積極的に受け入れる状態へ切り替わる一方、運転操作を伴わない場面ではα帯域活動が高く保たれ、不要な情報処理を抑えていた。一方、初心者ドライバーではこの切り替えが小さく、状況に応じた脳活動の調整が十分ではなかった。
これにより、熟練ドライバーは、通常時には不要な視覚情報を抑制し、ハンドル操作やブレーキ操作など運転判断が必要な瞬間だけ脳の「情報のゲート」が作用して効率よく視覚情報を処理していることが判明した。この知見は、運転に限らず、スポーツや医療、技能訓練など、経験によって高い認知能力を獲得するさまざまな場面の理解にもつながることが期待されるとしている。


