東北大学大学院の三浦響子大学院生(研究当時)らの研究グループは、「口の機能」(現在残っている歯の数や口の潤い)と、「指先の毛細血管」の状態との間に潜在的な関連性を発見した。全身の健康状態を反映する指標となり得るものという。
これまで、口腔機能と全身の健康との関わりは注目されていたが、指先の微小循環(毛細血管)に与える影響の解明は十分ではなかった。
研究グループは今回、311名(平均年齢約55.7歳)を対象に、舌圧測定器や口腔水分計を用いた口腔検査(残存歯数、舌圧、口腔粘膜の湿潤度)と、指先の毛細血管パラメータ(本数、長さ、太さ、濁り度)の相関関係を統計的に分析した。
その結果、残っている歯の数が多い人ほど、指先の毛細血管の本数が多い傾向があった。残っている歯を支える歯ぐきが歯周病に罹患していると、全身の血管に炎症性物質を巡らせて血管にダメージを与え、指先の毛細血管の本数に影響する可能性があるという。
また、口の中の湿潤度が高い人ほど、指先の毛細血管の幅が細くなり、画像が濁る(不鮮明になる)傾向があった。過去の研究から、口の潤いは体内の水分量(脱水状態など)を反映し、毛細血管の濁りや毛細血管の太さの減少は、血管のまわりのむくみ(組織液の停滞)を示すとされ、「体内の水分バランスの変動が、口の中の湿潤度と指先の血管の見た目の両方に現れている」という共通のメカニズムが推測されるという。
今回の研究成果は因果関係を完全に証明したものではないが、歯科的なアプローチを通じて全身の血管健康や体内水分バランスの異変を早期に察知する、新たなスクリーニング手法の確立につながることが期待されるとしている。

