山形大学は、デジタルを活用した新たな文理横断学位プログラムとして、2025年4月に「社会共創デジタル学環(仮称)」30名の新設構想を発表した。新設されれば、1973年に医学部を新設して以来の新しい組織となる。

 学環(学部等連係課程)は、大学における教育研究上の基本組織である「学部」に相当する組織。2019年8月に大学設置基準が改正され、「実施基本組織に関する特例」(第九章の二)として制度化。社会の変化に柔軟かつ機動的に対応した学位プログラムで、学内資源を活用して学部横断的な教育を実現している。このため、学環には連係している協力学部がある。

 新設構想している山形大学社会共創デジタル学環の連係協力学部は、山形市の小白川キャンパスにある3学部(人文社会科学部・地域教育文化学部・理学部)。文理を横断した学習により幅広い専門分野の知識を得るだけでなく、地域課題の解決に挑戦することができる人材や、アントレプレナーシップやビジネスの視点を持ち、データを利活用して地域社会における課題の発見や分析ができる人材などを、養成する人材像としている。

 国立大学での情報系「学環」には、2023年度新設の和歌山大学が社会インフォマティクス学環や、2024年度新設予定の熊本大学が情報融合学環がある。和歌山大学社会インフォマティクス学環の連係協力学部は、3学部(経済学部・システム工学部・観光学部)、熊本大学情報融合学環の連係協力学部は、3学部(工学部・理学部・法学部)となっており、同じ学環でも連係する学部系統が異なっている。

 高度情報専門人材が極端に足りていない中、人材確保に向けた機能強化支援として、情報科学系学部や研究科を設置する大学の体制強化に対して、国から継続的支援が出ている。山形大学は、2025年4月に大学院理工学研究科「数理情報システム科学専攻(仮称)」88名を設置する構想も同時に発表。 既設置の理学専攻数理科学分野データサイエンス領域と情報・エレクトロニクス専攻を統合・拡充(既設68名に加え、新たに20名増)を行う。

 2025年度以降も、情報系分野の新設・改組が続き、学部や大学院の定員枠が拡大していくのは確実となっており、学生募集に苦戦することが予測されている。新設・改組される学部(学環)を、どのように特徴付けをするかが重要になると考えられる。

参考:【山形大学】デジタルイノベーションに向けた新たな教育組織設置構想(PDF)

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