全国の医学部を持つ大学で女子や浪人差別など不正入試があった問題で、全国の医学生の多数が批判的な回答を寄せていることが、大学医学部の学生自治組織で構成する全日本医学生自治会連合の全国調査で分かった。面接では女子の15%が結婚や出産について質問され、結婚や出産で職場を離れる可能性がある女子学生に対し、敏感になっている医療現場の実情もうかがえた。

 調査は2月1日現在で全国50大学の医学生2,186人(男性1,257人、女性890人)からインターネットなどを通じて得た回答を集計、中間報告を公表した。

 それによると、一連の入試差別に対しては「人生をかけて受験に臨んでいるのに、あまりにもひどい」(男性・1年)、「ショックでとても残念」(女性・5年)など憤りや悔しさを示す回答が多かった。
その一方で、「私立大学にはほしい人材を選ぶ権利がある」(男性・5年)、「医療現場の体制を考えたら仕方がない」(女性・6年)など、一定の理解を示した反応もあった。

 差別の背景には結婚や出産で現場を離れる可能性がある女性医師を敬遠する医療現場の風潮があるといわれている。入試の面接では女性の15%が「結婚や出産で退職するつもりがあるか」、「妊娠はメリットか、デメリットか」といった質問を受けていた。浪人生には「今から本気で医師になるのか」といった年齢を気にする質問が出ている。

 全日本医学生自治会連合は中間報告の総括で「問題の背景に医師不足や過酷な労働環境がある。不正入試の根絶と同時に、職場環境の改善が必要でないか」としている。

参考:【全日本医学生自治会連合】医学部入試における女性や浪人生等の扱い不利による入試不正問題についての全国調査

大学ジャーナルオンライン編集部

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