日本学術会議の会員候補6人が菅義偉首相から任命を拒否された問題で、日本学術会議の梶田隆章会長、高村ゆかり副会長ら幹部4人が東京都内で記者会見を開き、選考に偏りが見られると菅首相に国会で指摘されたことに対し、「幅広く選考している」と反論した。さらに、任命拒否が学会運営の制約になっているとして、あらためて早期解決を訴えた。

 日本学術会議によると、梶田会長は任命拒否問題を「青天のへきれきというべき事態」と表現し、政府と未来志向の対話を進めるうえで大きな障害になっているとの見方を示した。政府に対しては任命を拒否した理由の説明と6人の任命を求めた。

 菅首相が国会で学術会議会員について「民間出身者や若手が少なく、出身や大学に偏りが見られる」と指摘した点に対し、会員選考のプロセスや女性会員増加のデータ、所属研究機関の割合などを詳細に示したうえで、「幅広い観点で会員を選考している」と述べた。

 日本学術会議についてSNSやブログ上で誤情報が相次いで発信されている点について、菱田公一副会長は「年金などの誤情報が相次いでびっくりした」と述べ、会見場で配布した資料で主な活動内容や予算の実態、国際連携活動の現状を説明した。

 記者会見では、報道陣から学問の自由への影響や菅首相の任命拒否が違法かどうかを問う声が出たが、梶田会長らは明言を避けた。

参考:【日本学術会議】日本学術会議の活動と運営について(記者会見要旨)(PDF)

大学ジャーナルオンライン編集部

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