東京科学大学と東京科学大学病院の研究チームは、病院の集中治療室では、特に光・音環境が医療従事者の総合的な環境満足度や作業への集中のしやすさと関連することを、環境測定とアンケート調査から明らかにした。
病院の集中治療室(ICU)は、生命の危機に直面する重症患者に対して 24 時間体制で集中的治療を行う場所で、医療従事者にかかる負担も極めて大きい。ICUの多くの医療機器(生体情報モニタ、人工呼吸器など)は作動音やアラーム音も大きく、室内環境の質が懸念されてきた。しかし、これまでICUの室内環境の質を包括的に検証した事例はほとんどなかった。
そこで研究グループは、患者のベッドが壁で仕切られていないオープンフロアを基本とした大学病院のICUとハイケアユニット(一般病棟とICUの中間的な役割を担う室)を対象とし、2023年7〜9月に包括的な環境測定(温湿度・空気質・照度・騒音)と医療従事者(医師と看護師)へのアンケートを実施した。
環境への不満の原因は、1位が医療機器のアラーム音、2位が自然光の不足となった。集中治療室における環境測定でも、比較的静かな夜間の等価騒音レベル(ある時間内で変動する騒音レベル、単位dB(A)「デシベルエー」)が54.5 dB(A)と、日本集中治療医学会の推奨値(45 dB(A))を大きく超過。また、自然光が入らない病床の水平面照度(明るさの程度の指標)は自然光が入る病床の3 分の1以下で、共にアンケートと一貫性のある結果が得られた。
今回の研究から、室内環境の質に改善の余地があることが示唆された。医療従事者が健康に働き続けるための環境の質改善は、医療従事者が提供する医療の質を向上させ、患者に好影響をもたらす可能性があるとしている。
