中央大学の有賀敦紀教授の研究グループは、日本貸金業協会、神奈川県警察本部と協力し、警察官を装った模擬的特殊詐欺の実験を学生対象に実施した。電話に出た大学生は通話中に怪しいと思っても通話を継続してしまう傾向があり、その結果被害に遭うことなどを明らかにした。

 神奈川県の特殊詐欺の発生・被害は増加傾向で、近年は被害が若者にも広がり、詐欺の受け子になるケースもある。研究グループは今回、警察をかたって個人情報を聞き出す典型的な電話詐欺を再現する実験を実施。被害の実態と被害に至る心理プロセスを捉え、被害防止に役立つデータの取得を目的とした。

 実験では、警察官を装った掛け子役(神奈川県警の警察官)が大学生の携帯電話に電話番号が通知される状態で架電。大学生148人のうち25人が電話に出て、このうち5人が個人情報(LINE ID)を提供する直前までに至った。

 分析結果から、掛け子役が用いる専門用語や強気の態度が、受け手に「本物らしさ」を感じさせ、電話への疑念を弱める可能性が示された。また、電話に出た人は、出なかった人よりも「携帯電話による特殊詐欺」について知らない割合が高かった。さらに、電話中に疑念を抱いても通話を継続する傾向があり、特に掛け子役が女性の場合、電話を途中で切ることに心理的な抵抗を感じやすい傾向が見られた。

 有賀教授は、知らない電話番号からの着信に出ないこと、電話に出ても詐欺の可能性を予測し、怪しければ電話を切ることが必要と述べている。今後は、怪しい電話には通話中でも簡単に切電できる手法(ナッジ)やシステムの開発、関係機関との研究結果の共有により、効果的な啓発活動や教材開発を行うとしている。

参考:【中央大学】警察官を装った模擬的特殊詐欺の実験を実施 ~携帯電話に出た学生の5人に1人が被害に遭う可能性を示唆~

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