学習院大学の研究グループは、熊本大学、日本女子大学、東京都健康長寿医療センター、東京大学、自治医科大学、東京薬科大学、青山学院大学などの共同研究チームとともに、ミトコンドリアの量と機能を同時に増強する植物由来の新規化合物「マイトルビン」を発見した。
細胞内でエネルギーを産生するミトコンドリアは、加齢とともに減少や機能低下を生じ、心不全などの加齢性疾患の一因となることが知られている。しかし、ミトコンドリアの量と機能を同時に改善する有効な手法は限られていた。
今回の研究ではミトコンドリアの品質管理に重要な酵素「MITOL(マイトル)」を指標としたスクリーニングを構築。MITOLは加齢に伴い遺伝子発現量が低下することや、その機能低下が培養細胞やマウスに老化表現型をもたらすことが知られている。研究チームはこのスクリーニングを通じ、植物由来の代謝産物から、ミトコンドリアの数を増やし、その機能を高める新規化合物「マイトルビン」を同定。化学修飾により水溶性を向上させた改良型マイトルビンの開発にも成功した。
これらの化合物は培養細胞やマウスのミトコンドリア機能を高め、老齢マウスの心機能低下を顕著に改善。さらに、高脂肪食を負荷した肥満糖尿病マウスに改良型マイトルビンを投与した結果、生存期間中央値が約40%延長した。
今回、マイトルビンにより哺乳類細胞のミトコンドリアの量と質が同時に強化され、生体での加齢性の心機能障害に対する保護効果が実証された。また、栄養過多条件下での寿命低下抑制効果も示された。研究チームは、これらの知見が、加齢性疾患に対するミトコンドリアを標的とした新たな治療戦略の可能性を示すものとしている。

