畿央大学大学院博士後期課程の金蔵満百合氏と岡田洋平教授らの研究で、進行期パーキンソン病患者(以下、進行期PD患者)にとって、足こぎ車椅子は手動車椅子よりも持久性および効率性に優れた移動手段であることが明らかとなった。
歩行能力が低下した進行期PD患者は、車椅子での移動を余儀なくされる。車椅子には、腕で操作する手動車椅子のほか、ペダリング動作とジョイスティック操作で駆動する足こぎ車椅子があるが、進行期PD患者における両者の有用性を客観的に比較した研究はこれまでなかった。
そこで研究グループは、進行期PD患者9名を対象に、方向転換を含む屋外走行路で6分間駆動テストを実施し、手動車椅子と足こぎ車椅子の持久性および効率性を比較した。持久性は総駆動距離と駆動速度で、効率性は心拍数の変化量を駆動速度で除して算出するPhysiological Cost Index(PCI)で評価した。
その結果、すべての対象者で、足こぎ車椅子は手動車椅子より総駆動距離と駆動速度が有意に大きく、より長距離を移動できることが確認された。また、駆動効率を示すPCIも足こぎ車椅子の方が優位で、より効率的な移動が可能であることが示された。
一方、心拍数の変化量や主観的疲労感には有意差が認められなかった。このことから、足こぎ車椅子は心負荷や疲労感を増大させることなく、より長距離かつ効率的な移動を可能にすることが示唆された。
本研究は、進行期PD患者において、足こぎ車椅子が方向転換を含む連続走行で持久性と効率性の高い移動手段となり得ることを初めて示した。この成果は、進行期PD患者の自律的な移動や生活範囲の拡大に貢献することが期待される。今後は、対象者数を増やした検証や実生活場面での有用性検討を進めていくとしている。
