2027年4月、学科の統合や「社会応用領域」の新設を伴う大規模な改組・改編を敢行する龍谷大学文学部。伝統ある人文学の知をいかに社会へと接続し、未来を切り拓く「言葉のプロフェッショナル」を育むのか。安藤真次郎学部長に話を伺った。

 

380年の伝統とPBLを融合させ「今の18歳」に響く文学部へ

 1639年、浄土真宗本願寺派の西本願寺に設けられた学寮を起源とする龍谷大学。380年以上の歴史の中でも、文学部は重要文化財が並ぶ大宮学舎における「人文知の探究拠点」として、創設時から続く伝統を継承してきた。

 その文学部が2027年4月、大きな転換期を迎える。真宗学科と仏教学科を統合して新たな「仏教学科」を展開し、歴史学科ではユーラシア地域の学びや無形文化遺産分野を拡充するのだ。この大規模な改編に踏み切った背景には、18歳人口の減少や学生の「本離れ」、社会科学系・実学志向の高まりといった、人文学を取り巻く厳しい現状があることは間違いない。「このままで5年後、10年後の文学部は大丈夫だろうか」という差し迫った危機感のもと、文学部教職員が一丸となって改編の準備を進めてきた。

 さらに、高校でのアクティブ・ラーニング導入を含む教育現場の大きな変化に対応することも、今回の改組の目的である。「テキストと徹底的に向き合いインプットを重ねるという、従来の文学部の長所を核にしつつ、社会へのアウトプット、すなわちPBL(課題解決型学習)やフィールドワークといった要素をいかに融合させるか。ここに、『今の18歳』が魅力を感じる新しい文学部へとシフトするポイントがあると考えました」。

仏教の思想を「社会のOS」に 新たな時代を拓く仏教学科の挑戦

 今回の改編では、真宗学科と仏教学科が統合され「仏教学科」となる。これにともない定員を適正化し、より教育効果を高めたコンパクトな体制への移行を図る。「真宗学科と仏教学科が培ってきた叡智を集約することで、より学生一人ひとりの個性を生かし、多様化・複雑化する社会課題に取り組むプラットフォームを作りたい」(安藤学部長)。

 新たな仏教学科は、真宗の教えを深める「真宗領域」、広く仏教を学ぶ「仏教領域」、そして「社会応用領域」の三つの学問領域で構成される。今回の改編の「本丸」とも言える「社会応用領域」では、仏教思想を、複雑な社会を生き抜くための思考や行動の基盤と位置づけ、さまざまな社会課題にアプローチする。「仏教には、人間の苦悩や社会の矛盾に向き合い、その構造を解き明かす思考の枠組みという側面があります。現代においても、仏教は複雑な課題を読み解くための基盤、つまり『社会のOS(オペレーティングシステム)』になり得ると考えています」(安藤学部長)。

 社会応用領域の学びのフィールドには、「国際」「福祉・医療」「文化」の三つを想定する。「国際」では、インドなどとの教育連携・多文化交流を 、「福祉・医療」では、これまで大学院で培ってきた「被災者の心のケア」などの知見を学部段階から反映させる予定。「文化」では、文化的な価値が高いにもかかわらず存続の危機にある寺院の運営支援といった実践的な活動も視野に入れる。「仏教×経済、仏教×国際など、仏教と何かを掛け合わせることで、人文学の学びは無限に広がります。総合大学としての強みを武器に、学生が主体となって社会へ飛び出していくアプローチを強化できれば」(安藤学部長)。

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龍谷大学

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