同志社大学の加藤正晴特定任用研究員(准教授)(研究当時)と北陸先端科学技術大学院大学の木谷俊介特任准教授は、日本の未就学児・小学生の大規模横断研究を実施し、騒がしい環境で聞きたい音声を聞き分ける「選択的聴取能力」の発達的標準値を日本語環境として初めて確立した。

 近年、「聞こえているのに聞き取れない」聞き取り困難症(LiD)・聴覚情報処理障害(APD)に対し、診断基準や支援の手引き整備への取り組みが始まっている。しかし、子どもの年齢ごとの標準値が必要だが日本語環境でのデータが存在せず、教育・保育現場で配慮を要する子どもの定量的特定が困難だった。

 研究グループは、国内の年長児(5歳児)から小学6年生714名のデータを、聴覚課題を用いて分析した。15分程度で実施可能な課題は、ターゲット音声と妨害音(多数話者の混合会話)の同時提示中にターゲットを聞き取る「聴覚的図と地課題」と、異なる単語を左右の耳に同時提示し、両方を聞き取る「競合語課題(両耳分離聴課題)」の2種類。

 分析の結果、両課題とも、学年進行に伴い成績が向上し個人差の収束が確認された。また、競合語課題において低学年で顕著な右耳優位性が学年とともに縮小することが確認された。また、両課題が選択的聴取の異なる認知プロセス(情報マスキング耐性と分割注意)を測定していることが示唆された。

 研究グループは、学年・提示耳別の平均正答率と標準偏差を算出し、パーセンタイル基準値として活用可能な標準データを確立。これにより、同学年の平均より著しく低い成績を示す子どもを早期に特定し、座席配置の工夫・視覚情報の併用・音響環境の改善などの教育的配慮が可能になるとしている。

参考:【同志社大学】日本で初めて、未就学児・小学生の「騒音下での聞き取り能力」の発達標準値を確立-15分で実施できる簡便な評価ツールで、支援が必要な子どもの早期発見へー

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