専門職大学及び専門職短期大学(以下、「専門職大学等」という。)は、その制度の特色として、教育課程の編成方針において産業界及び地域社会との連携による教育課程の編成・実施のため、学長に対して意見を述べる機関として、設置基準の中で「教育課程連携協議会」の設置を義務付けし、その構成員を以下のとおり規定している。

 

 

(1)学長が指名する教員その他の職員
(2)当該専門職大学等の課程に係る職業に就いている者又は当該職業に関連する事業を行う者による団体のうち、広範囲の地域で活動するものの関係者であって、当該職業の実務に関し豊富な経験を有するもの
(3)地方公共団体の職員、地域の事業者による団体の関係者その他の地域の関係者
(4)臨地実務実習(専門職大学設置基準第二十九条第一項第四号及び専門職短期大学設置基準第二十六条第一項第四号に規定する臨地実務実習をいう。)その他の授業科目の開設又は授業の実施において当該専門職大学等と協力する事業者
(5)当該専門職大学等の教員その他の職員以外の者であって学長が必要と認めるもの

 

 ヤマザキ動物看護専門職短期大学を例にあげると、開学以来毎年複数回にわたり「教育課程連携協議会」を開催しており、(2)として「動物看護師、グルーミングサロン、ペットショップ又はその他の動物関連産業に係る職業に就いている者又はこれらの職業に関連する事業を行う者による団体のうち、広範囲の地域で活動する関係者であって当該職業の実務に関し豊富な経験を有する者」として、具体的には、(公社)日本動物福祉協会理事、(公社)東京都獣医師会元副会長に委員として、さらに(3)には渋谷区役所危機管理対策部部長が委員として参画している。
 
 これまでに、出された重要な意見としては、臨地実務実習についてと国家資格化についての2点があった。
 
 臨地実務実習については、実習生受け入れ側施設として実習前の教育の充実を図ってほしいとの意見があげられた。具体的には、実習中の基本となる挨拶、さらに無事に実習を終了するための体調管理等、多様な学生がいるため、アレルギー含め配慮が必要な学生については事前に通知が欲しい等の意見もあった。また、令和3(2021)年開催の協議会においては、学生の新型コロナ感染症の対策や第5波流行下での実施状況などの説明が求められた。

 令和元(2019)年に制定された愛玩動物看護師法に関連して、令和5(2023)年の第1回の国家試験実施を前に、国家資格となった愛玩動物看護師を多く輩出できるような教育体制を整えてほしいという要望も出された。
 これらの例のように専門職大学等は、協議会で出された意見を踏まえ、教育内容の充実に取り組んでいる。

 

 

 専門職大学等の制度のもう一つの特色として、実践的な教育課程を実現するため、設置基準にも規定されている40人以下の少人数制の教育があげられる。授業は座学講義、演習、実習の3つに大きく分かれるが、ヤマザキ動物看護専門職短期大学の実習でいえば、少人数教育の利点を生かして、動物看護、コンパニオンアニマルケア(健康診断を兼ねた美容)、トレーニングの3つに分かれており、どの授業においても助手を複数名配置し、学生一人ひとりに細かく指導できるよう配慮している。実習では生体(動物)を扱うことも多く、リスクマネジメントにもつながる。

 座学においても少人数制により教員と学生との距離が近く、学生の反応や意見を取り入れながらの講義が可能となっている。大人数での授業ではどうしても一方通行の講義になりがちであるが、40人以下のクラスでは講義の回を重ねるごとに学生の顔と名前が一致しやすく、声掛けしながらの双方向のやり取りができるようになる。またそのような学生との関係性が、当該授業だけでなく臨地実務実習や学生生活の指導やなどに活かされることもある。

今後も、専門職大学等の特色である少人数制による授業の充実を通じ、学生の学修意欲の向上を目指し取り組んでいく。

 

大学ジャーナルオンライン編集部

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