北海道大学は、電気的に引き起こされる可逆的な酸化還元反応よって着色したり消えたりする「エレクトロクロミック材料」の一つである酸化タングステンを使い、薄膜トランジスタ構造を採用することで、色の変化や電流の有無によって情報を記憶し、読み出せる新しい記憶装置を開発した。室温で製造できるため、熱に強いガラスだけでなく、熱に弱いプラスチックの上などにも作製できる。大面積化も容易で、安価に製造可能。例えば、窓ガラスに文字や絵などの情報を表示し、記憶するなどの応用が見込める。

 酸化タングステンは透明で電気を通さない絶縁体だが、電気化学的に水素を内包させると、黒色で電気をよく通す金属になり、逆に水素を引き抜くと元の透明な絶縁体に戻る。今回、透明から黒色に変わるこの酸化タングステンの色変化と、絶縁体から金属に変わる電気の通しやすさの変化に着目した。色変化の情報に加え、絶縁体の状態を情報「0」、金属の状態を情報「1」とすることで、電気的に情報を記憶し、読み出すことができる。

 情報の表示、消去には約10秒を要し、情報表示装置としては動作がやや遅い課題があるが、今後、材料や装置の構造を改良し、タッチパネル技術などと組み合わせて改善する。エレクトロクロミック材料は、ボーイング787型旅客機の“電子カーテン”として応用されたことで注目を浴びた。

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大学ジャーナルオンライン編集部

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