開腹手術や腹腔鏡手術に比べ、ロボット支援手術では女性外科医の執刀機会が男性外科医より少ないことが明らかになった。大阪医科薬科大学の河野恵美子助教と東京大学の野村幸世教授らの研究グループが調査結果を報告した。
手術経験は外科医のキャリア形成に大きく影響するが、どの医師がどの手術を執刀するかは、各施設の診療科トップや指導医が決定するのが一般的だ。これまでの研究により、女性外科医は男性外科医に比べて執刀機会が少なく、中でも難しい手術でその差が大きいことが指摘されている。
本研究では、2018年以降に全国で急速に普及しているロボット支援手術に着目し、新しい術式の導入初期においても経験機会に男女差があるかを検証した。
日本の外科手術の95%以上が登録されている大規模データベース「National Clinical Database(NCD)」を用いて、幽門側胃切除術および低位前方切除術を対象に、ロボット支援手術、開腹手術、腹腔鏡手術それぞれについて、外科医1人あたりの執刀数を経験年数別・男女別に解析した。
その結果、開腹手術や腹腔鏡手術では執刀機会の男女差は改善傾向にあった一方、ロボット支援手術では男女差がより顕著だった。男性外科医は経験年数の増加とともにロボット支援手術の執刀数も増加するのに対し、女性外科医では同様の増加傾向が認められなかった。特に医師免許取得後約10年前後から男女差が拡大する傾向がみられ、新規術式導入期において女性外科医への執刀機会配分が十分ではない可能性が示唆された。
ロボット支援手術は今後の消化器外科診療の中心的な術式の一つであり、導入初期の修練機会の偏在は、将来的な技術習得やキャリア形成にも影響を及ぼす可能性がある。本研究成果は、外科領域におけるジェンダー平等の推進と持続可能な外科医療体制の構築に向け、公平な修練機会確保の重要性を示すものだとしている。
論文情報:【Surgery】Sex Differences in Operative Opportunities with Early Adoption of Robot-assisted Surgery

