国立大学協会は北海道小樽市のホテルグランドパーク小樽で2016年度の第2回通常総会を開き、運営費交付金の拡充などを国に求める決議を採択した。基礎研究の拡充には運営費交付金の拡充が不可欠で、競争的資金の活用だけでは大学運営ができないとしている。

 国立大学協会によると、決議は東京工業大学の大隅良典栄誉教授が今年のノーベル賞を受賞するなど国立大学はこれまで、わが国の発展に大きく貢献してきたとしたうえで、これらの業績が20~30年前の成果であり、現在の研究環境が財政難から憂慮すべき状態にあると訴えた。

 特に、基礎研究は科学研究費補助金など競争的資金だけで運営できるものではなく、安定した経費の確保がどうしても欠かせないと主張。しかも、各国立大学は大学改革と機能強化の推進のため、各学長のリーダーシップの下、最大限の努力を払っている最中であり、財源の確保が急ぎ求められていると指摘している。

 このため、国の2017年度予算編成では、国立大学の基盤的経費である運営費交付金の拡充と、概算要求に含まれた国立大学関連事項に十分な予算措置をするよう求めた。さらに、2017年度の税制改正で国立大学への民間投資を拡大するため、特別試験研究費税額控除制度(オープンイノベーション型)の改善を図ることも要求している。

 国立大学協会の里見進会長(東北大学総長)は総会で「国の概算要求、税制改正への要望は昨年に比べ、大幅な増額となった。国立大学協会としても財政制度審議会や経済財政諮問会議などの議論に目配りをしつつ、適切に対応したい」と発言した。

大学ジャーナルオンライン編集部

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