英国の世界的医学雑誌「ランセット」がうつ病の社会負担を軽減するため、世界の団結を呼び掛ける特集号を発行した。京都大学大学院医学研究科の古川壽亮教授は世界11カ国25人の専門家とともに、ランセット世界精神医学会委員会の宣言をまとめ上げた。

 京都大学によると、ランセット世界精神医学会委員会は世界がうつ病による社会負担の増大に直面しているが、十分な対処ができていないとし、各国政府や医療従事者、研究者、うつ病患者とその家族が一致団結してケアと予防の改善、知識ギャップの解消、認知度向上などうつ病が抱える課題の克服に取り組むことを宣言で求めている。

 うつ病は全世界の成人の約5%が罹患していると推計され、特に若年層での発症が増えている。しかし、この状況は社会から依然として軽視され、うつ病に対する理解不足などが各国の経済的な繁栄に影響を及ぼしている。

 うつ病を予防し、回復を助けるために多くのことができるにもかかわらず、高所得国ではうつ病に悩む人の約半数が診断や治療を受けていないほか、低・中所得国ではその比率が80~90%に達すると考えられている。

 しかも、新型コロナウイルスの感染拡大が社会的孤立や死別、医療への限られたアクセスなどさらなる課題を引き起こし、さらに多くの人の心に深刻な打撃を与えている。

論文情報:【Lancet】Time for united action on depression:a Lancet–World Psychiatric Association Commission

京都大学

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