九州大学大学院歯学研究院の一杉岳講師、東京女子医科大学歯科口腔外科の佐々木亮講師らの研究グループが、小児歯科治療で局所麻酔薬の安全な最大推奨用量を簡単に求められる新ルールを提案した。体重6キロごとに歯科麻酔薬の注射を半分ずつ増やしていく内容で、研究成果が日本歯科麻酔学会誌に掲載された。
九州大学によると、歯科治療に局所麻酔薬が欠かせないが、過量投与で発生する小児の局所麻酔薬中毒がしばしば問題になっている。小児の使用量の上限が明確にされておらず、世界でいくつものルールが乱立していることが原因に挙げられる。
日本の歯科医の大部分は1.8ミリリットルが1カートリッジ規格である局所麻酔薬を専用の注射器にセットして使用しているが、小児歯科専門医と一般歯科医を対象とした調査では、7割近くが安全な最大推奨用量を知らなかった。
そこで、研究グループは簡単に安全な最大推奨用量を算出できる方法として、体重6キロごとにカートリッジを半分ずつ増やす新ルールを考案した。新ルールでは歯科麻酔薬の種類を問わない。新ルールの最大推奨用量は他のルールの基準値に比べて少ないが、小児歯科診療で十分な局所麻酔量になっているという。
研究グループは新ルールが広まれば、歯科医側の混乱や患者の不安が軽減され、小児歯科治療の安全性が高まるとみている。