中部大学生命健康科学部 スポーツ保健医療学科の飯尾洋子准教授と伊藤守弘教授らの研究チームは、大学野球部に所属する男子学生92人を対象に栄養摂取状況を調査し、大学野球選手の栄養摂取状況には改善の余地があることを明らかにした。
アスリートにとって十分なエネルギーと栄養素の摂取はパフォーマンスとコンディションの維持・向上のために重要である。しかし大学生アスリートの場合、プロアスリートのような栄養の指導やサポートを受ける機会は限られており、学業との両立などで不規則な食生活を送っている場合もある。
これまで単一競技の大学生アスリートを対象とした栄養摂取状況の詳細な報告は少ないことから、飯尾准教授と伊藤教授らの研究チームは、大学野球部に所属する男子学生92人を対象に調査し、詳細な栄養素別摂取量と食品群別摂取量を明らかにした。さらに選手の競技レベルを1〜4軍(1軍:公式戦レギュラー、2軍:公式戦ベンチ入り、3軍:2軍入りの可能性あり、4軍:1〜3軍以外)に分け、競技レベルごとの栄養摂取状況の特性を比較した。
その結果、総エネルギー、炭水化物、カルシウム他多くのミネラル、不溶性食物繊維、穀物、砂糖、乳製品等の項目において、3、4軍と比較して2軍の選手が有意に多く摂取しており、2軍の選手が試合出場を目指す高いモチベーションを持ち、積極的な栄養管理をしていることが示唆された。
一方、1軍については、栄養素および食品群共に他のカテゴリーとの比較では摂取量に有意差は特定されなかった。1軍の選手はすでに競技レベルが高く、フィジカルの向上よりコンディション維持を重視しているものと推察される。
しかしチーム全体としては総エネルギー量、タンパク質、脂肪、炭水化物、食物繊維、カルシウムなどの栄養素および、いも類、豆類、野菜、果物、卵、牛乳などの食品群の摂取不足が明らかになった。学業やトレーニングの両立に苦しむ選手に対して、効果的で実践的な栄養の指導・サポートの必要性が伺える。
研究チームは、考えられる改善戦略のひとつとして、たんぱく質、脂肪、ビタミンB1など栄養素を豊富に含み、かつ手軽に摂取できる『牛乳』を毎日の食事に追加することが推奨されるとしている。