東京理科大学、東京農工大学、有人宇宙システム株式会社(JAMSS)は、「光触媒を用いた空気浄化装置の製作と技術実証」に関わる共同研究契約を締結した。
民間による宇宙旅行時代の到来を前に、宇宙滞在生活の質(Quality Of Life:QOL)向上が求められている。その一方、宇宙ステーションのような閉鎖空間での長期生活では、呼気による二酸化炭素以外に腸で生成されるメタン、尿、皮膚から放散されるアセトアルデヒドといった“臭い”の原因となる揮発性有機化合物(VOC)の蓄積が知られている。また、アロマなど好みの匂いはリラクゼーションの観点から有効と考えられるが、閉鎖空間では他の人にとって“臭い”になる懸念もある。
そこで、JAMSSは、宇宙旅行者にとっての宇宙滞在をより快適にするため(QOL向上)、場所を選ばず置ける簡易な空気浄化装置が必要になると考え、VOC除去に有効な光触媒に着目。同技術で世界をリードする東京理科大学、東京農工大学と国際宇宙ステーションでの空気清浄化技術実証をターゲットにした共同研究を進める。
光触媒技術は日本の研究者がその効果を発見し確立した技術であり、シンプルな構造とメンテナンスフリーという特徴を持つ。日本がリードする技術で民間宇宙旅行時代を支えるため、国際的にも競争優位性のある技術確立を目指す。加えて、光触媒は、除菌、水浄化、燃料生成といった長期の宇宙滞在にとって必要不可欠な技術につながる可能性を秘めており、本共同研究の次のステップとして、更なる展開を図っていく。
※有人宇宙システム株式会社(JAMSS)は、国際宇宙ステーション(ISS)の一部、「きぼう」日本実験棟の地上管制業務や、「きぼう」で働く宇宙飛行士の訓練や健康管理など、「きぼう」の運用に関わる業務に携わっている。