2025年10月22日、香川県で第2回県立大学の設置・拡充に関する検討委員会が開かれ、県内の高校生9,911人をはじめ保護者や企業に行ったアンケート結果が示された。

 2024年度の学校基本調査によると、香川県における大学生の県内残留率17.7%。県外大学へ進学し、県内に就職した学生は28.6%で、県外に就職した学生のほうが71.4%と圧倒的に多い。一方、2023年度の調査によると、県内で大学進学し就職した学生は72.9%で、県外に就職した学生27.1%より多い(学校基本調査及び県地域活力推進課によるアンケート調査)。このことから、県内の就職率を上げるためには、県内大学への進学率向上がカギとなる可能性がある。

 7月25日に行われた第1回検討委員会では、県立大学の設置・拡充の是非も含めた総合的な議論が行われ、地域のために理工系や農系の人材を育成し、県内企業に就職のインセンティブを持たせること、学部学科の役割分担は既存大学との連携を考慮することが必要であること、魅力的な立地や奨学金などの設計が指摘された。

 今回の第2回検討委員会では、県内全43校の高校生(1~3年生)9,911人と保護者・県内企業へのアンケート・ヒアリングの結果が示された。

 それによると、県内進学希望が高校生21.2%に対し保護者は40.1%、国立・公立進学希望は高校生59.6%に対し保護者は78.8%、県内就職希望が高校生37.3%に対し保護者は65.7%と差がついた。なお、香川県内高校生の実際の大学進学先は国公立が33.6%、私立66.4%となっている(2024年度学校基本調査)。

 高校生は、県立大学が選択肢に上がる条件として7割が「学びたい内容の学部・学科がある」と回答し、就職に有利(33.5%)、資格取得(31.7%)と回答している。学びたい内容の学部・学科については、社会科学が27.5%で最も多く、保険・教育・人文科学・工学が10~15%ずつ挙がった。このうち人文科学や工学分野では県内希望率が低く、県内での受け皿整備が求められている。

 県内企業からは、事務・営業系、技術系にわたり多様な学部が望まれているが、特に技術職(工学・理系を学んだ学生)の採用が難しいという声が多かった。経済産業省によると2040年には理系人材が100万人不足するとの推計がある。2025年10月27日の定例記者会見では「企業からのニーズを踏まえると、工学系学部も有力な候補の1つ」というコメントもあった。

 一方、県内大学からは、学部・学科の重複による学生の奪い合いを懸念する声や、大学新設ではなく県内大学に進学する学生に有利な奨学金を設ける提案等がなされている。

 香川県には、香川大学と徳島文理大学に理系の学部がある。香川大学(高松市)は、2018年4月に工学部(入学定員260名)を創造工学部(入学定員330名)に改組し定員を増やしている。2017年度工学部入学者274名のうち県内出身者は63名(県内比率23.0%)、2024年度創造工学部入学者342名のうち県内出身者は85名(県内比率24.9%)で、工学系の県内比率は若干上がっているが大きくは伸びていない。
※大学改革支援・学位授与機構「大学基本情報」データより

 第3回検討委員会では、県立大学の新設または既存の県立保健医療大学の拡充により県内残留が促進されるのかどうかなど、さらに議論・検討を進めていくことになっている。

参考:【香川県】県立大学の設置・拡充に関する検討について

大学ジャーナルオンライン編集部

大学ジャーナルオンライン編集部です。
大学や教育に対する知見・関心の高い編集スタッフにより記事執筆しています。