獨協医科大学精神神経医学講座の菅原典夫准教授と徳満敬大非常勤助教らの研究チームは、注意欠如・多動症(ADHD)症状を有する人では、さまざまな身体疾患と関連がみられることを明らかにした。

 ADHDはこれまで主に精神疾患として理解されてきたが、近年では不注意や衝動性といった精神症状にとどまらず、身体の健康にも関連する可能性が指摘されている。しかし、その関連の背景にある要因や仕組みについては十分に明らかになっていなかった。

 そこで本研究では、日本の一般成人約3万人を対象とした大規模インターネット調査を実施し、ADHD症状と身体疾患との関連、およびその背景要因について検討した。

 その結果、ADHD症状を有する人では、調査対象とした18種類の身体疾患(慢性肝炎・肝硬変、慢性閉塞性肺疾患、狭心症・心筋梗塞、てんかん、免疫疾患、脳卒中、慢性腎疾患、肺炎・気管支炎、がん、糖尿病、高血圧、ぜんそく、アトピー性皮膚炎、慢性疼痛、歯周病、う歯、脂質異常症、アレルギー性鼻炎)とアルコール依存症のうち、アレルギー性鼻炎を除く全てで有意な関連が認められた。特に、慢性肝炎・肝硬変や慢性閉塞性肺疾患で強い関連がみられた。
 さらに、ADHD症状を有する人ではアルコール依存の頻度が高く、その飲酒問題が身体疾患との関連を「媒介」している可能性が示された。実際に、がんでは約9割、脳卒中では約7割の関連がアルコール依存によって説明される結果だったという。
 本研究から、ADHDは精神症状にとどまらず、生活習慣や行動を通じて身体の健康にも影響を及ぼしうることが示された。ADHDの診療においてアルコール依存への評価や支援を組み込むことが、身体的健康の改善につながる可能性があるとしている。

論文情報:【Scientific Reports】Mediating role of alcohol dependence in the associations between adult ADHD symptoms and a wide range of physical comorbidities

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