早稲田大学(商学学術院と政治経済学術院)、シンガポール国立大学、神奈川県立保健福祉大学の研究チームは、女性約180万人のデータ分析により、教育が家族形成に与える影響は限定的・一時的で、最終的な結婚や出生の水準を低下させないことを明らかにした。
2026年は60年ぶりの「丙午」の年だ。前回の1966年には、丙午生まれの女性に関する迷信(気性が激しく夫を不幸にする)により日本全体で出生数が急減した。学年開始は4月で干支は暦年に従うため、1967年1月~3月生まれの女性は、丙午世代と同学年に(コホート)属するが、同学年の人数減少により進学競争が緩和され、丙午年生まれではないため結婚に不利な影響はなかった。この「学年と干支のずれ」により、教育機会のみが外生的に変化する稀有な自然実験の環境が生じた。
研究チームは、国勢調査、人口動態調査(婚姻票・出生票)を用いて、約180万人の1967年と1968年生まれの女性を対象に比較分析を行い、「女性の高学歴化が少子化や晩婚化の原因である」という従来の見方を検証した。
その結果、当該コホートでは教育水準が統計的に有意に高いが、家族形成への影響は限定的で、結婚は約2週間、初産は約40日遅れただけだった。さらに、40代半ばまでには結婚や子どもを持つ割合は同世代とほぼ同水準に収束することも確認。これは、女性の高学歴化が家族形成をわずかに遅らせることはあっても、その影響は限定的かつ一時的で、最終的な家族形成を減少させないことを示している。
今回の研究成果は、少子化対策に重要な示唆を与えるもので、教育そのものよりも、働き方や育児環境などの制度面に目を向ける必要性を示唆しているとしている。
