早稲田大学・大学院、麻布大学、京都大学大学院の共同研究チームは、卵子とその周囲の細胞とをつなぐ突起構造の内部に、微小管が高頻度で存在することを超解像顕微鏡技術により発見。さらに、その突起構造の形成にCamsap3タンパク質が重要な役割を果たすことを明らかにした。
ヒトやマウスなど、ほ乳類の卵子は、卵巣内でたくさんの顆粒層細胞に取り囲まれた状態で成熟する。顆粒層細胞は、卵子との間に存在する透明帯を超えて、TZPと呼ばれる突起状の構造を伸ばす。これにより卵子の成熟に必要な物質を送り届けると考えられている。
研究チームは今回、細胞骨格である微小管の結合タンパク質Camsap3を欠損したマウスが、卵子の成熟異常、排卵障害、不妊を示すことを発見。Camsap3欠損マウスの卵子と顆粒層細胞の観察では、両者をつなぐTZP突起の本数が野生型マウスと比較して約60%に減少していた。しかし従来、TZP突起全体のうち約5%しか発見されていなかった微小管に重要な機能はないとされ、微小管結合タンパク質Camsap3の欠損マウスにおけるTZP突起の異常は疑問だった。
そこで、超解像顕微鏡技術を用いてTZP突起を高精細に観察したところ、通説とは異なり、TZP突起の大多数(約80%)が内部に微小管を含むことを発見した。つまり、微小管結合タンパク質Camsap3を欠損すると、TZP突起内部の微小管に異常が起き、これがTZP突起の形成不全を引き起こすことが分かった。
今回の研究結果から卵子と周囲の細胞との突起形成がCamsap3と微小管によって促進されることが判明。今後、卵子と周辺細胞とのコミュニケーション機構の実体解明により、卵子の成熟機構の理解が進み、生殖医療・不妊研究への応用が期待されるとしている。


