2022年6月1日、セーブ・ザ・チルドレンが参加する「教育を攻撃から守る世界連合(Global Coalition to Protect Education from Attack(GCPEA)」は、報告書『攻撃される教育2022(Education under Attack 2022)』を発表した。世界の紛争地において、学校の軍事利用は過去2年間で2倍以上に増加しているという。

 報告書『攻撃される教育2022(Education under Attack 2022)』は、世界中の紛争地域における教育に対する攻撃について調査し、とりまとめたもの。

 それによると、紛争地域の学校や大学を標的とした攻撃が増加しており、過去2年間で9,000人以上の学生、教員、教育関係者が攻撃の影響を受けたと報告している。また、2020年と2021年の間には、紛争地域の学生、教員、学校、大学に対する軍や非政府武装組織による攻撃が5,000件以上発生。こうした攻撃には、学校や大学への爆撃や焼き討ち、生徒や教育関係者への性暴力、殺害、拘束、拉致、武装集団への勧誘、学校の軍事利用などが含まれる。攻撃件数は2019年から2020年にかけて約30%増加し、2021年は2020年と同水準となっている。GCPEAが攻撃の増加を記録した国のリストには、ブルキナファソやコロンビア、エチオピア、マリ、ミャンマー、ナイジェリアが含まれる。

 軍や非政府武装勢力が学校や大学を軍事目的で使用する事例は、2020年、2021年の2年間で前年の2倍以上に増加。教育機関は、軍事作戦の拠点、兵士の兵舎、収容所などとして利用されている。2015年以降、114ヶ国が学校の軍事利用を禁止する政治宣言である「学校保護宣言」に賛同したが、日本政府は同宣言に賛同を表明していない。

 セーブ・ザ・チルドレンは、教育に対する攻撃を止め、紛争地域の子どもや若者が安全に教育を受けられるようにするためには、政治的な意志を実際の行動に移すことが極めて重要であると考え、今回の報告書は、各国が「学校保護宣言」で定められた義務を実施し、教育を守る行動を起こすことがこれまで以上に意味があると述べている。

参考:【公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン】『攻撃される教育 2022 (Education under Attack 2022)』日本語概要(PDF)

大学ジャーナルオンライン編集部

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