中部大学の多賀康訓特定教授はガラスやプラスチックの窓に張り付けると熱の侵入や流出を大幅に抑えることができる透明薄膜フィルムを開発した。夏の冷房や冬の暖房に使用するエアコンの消費エネルギーを約20%削減できることも確認している。

 中部大学によると、開発したのは厚さ約10ナノメートル(ナノは10億分の1)の銀膜と厚さ約30ナノメートルのセリア(酸化セリウム)膜を張り合わせたフィルム。銀は熱を吸収しにくく、放出しにくい性質を持ち、セリアが銀を保護することで、ガラスやプラスチックの表面に張り付けると保熱と遮熱の効果が出る。

 外気温度50度、室内温度25度に設定した実験では、厚さ3ミリメートルの透明プラスチックにこのフィルムを張って窓として用いると、窓の表面から室内に放射される熱の温度を49度から26度に下げることができた。

 室外温度を6度、室内温度を25度にした実験でも、窓の表面から室外に放出される熱の温度を14度から7.8度に下げ、熱の流出を抑えることができた。いずれの実験でもエアコンの消費電力を約20%削減できることが明らかになっている。

 日本の住宅は欧米に比べ、通気性が優れているものの、断熱性で大きく劣るとされ、省エネ推進の妨げになってきた。このフィルムは厚さ約40ナノメートルという薄型で、可視光線をほとんど通して室内の明るさに影響しない。多賀教授は住宅やオフィス、自動車関連で事業化を目指す。

参考:【中部大学】窓を通した熱の流出入を大幅に抑える透明薄膜フィルムを開発―室内温度維持のためのエアコン消費電力を20%削減―(PDF)

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