日本女子大学 目白キャンパス百年館1階のオールジェンダートイレが、2024年度グッドデザイン賞(主催:公益財団法人日本デザイン振興会)を受賞した。バリアフリー・ユニバーサルデザインが専門で建築デザイン学部長の佐藤克志教授が設計・デザインを監修した。

 佐藤教授によると、今回の受賞対象は「オールジェンダートイレ」だが、デザインのコンセプトは「選択性」。立ち寄るきっかけづくりとプライバシーへの配慮を両立して、トイレの“選択肢”の1つとして誰もが使いやすい「これからのトイレ」を目指した。

 オールジェンダートイレは“より道”するように入りやすく使いやすい、大きな2箇所の出入口を設けた行き止まりのないデザイン。2箇所の出入口をつなぐ曲線を描いた通路を中央に設け、出入りや手洗いの際に利用者同士の見合いが発生しにくく、かつ見通しのよいレイアウトとなっている。また、洗面やフィッティングボード、タッチレス(非接触)サニタリーボックスなど目的別のブースを複数設けた「これからのトイレ」としてプラスαの機能を持たせた。

 また「選択性」を強調するために、オールジェンダートイレと近接している既設の男女別トイレ、バリアフリートイレを一体的なトイレエリアとして改修し、壁面色の統一、トイレエリア全体を示す案内サイン・ピクトグラムなどを工夫した。

 整備前後に学生調査を行ったところ、選択性のあるトイレエリアとして整備したことによって、「女子大学」という前提条件付きながら、在校生の利用に関する抵抗感は大きく減少していることが示された。一方、トイレブース前の見通しの良さに対しての「不安」の声も聞かれ、佐藤教授は「本学だからというわけではなく、我が国のインクルーシブな公共トイレ整備について考えなければならない課題があらためて示された」と語っている。

 グッドデザイン賞審査委員は「もともと女性用トイレだった区画をオールジェンダーのトイレに改修した計画。トイレを大きな1つの区画(ブース)として捉えるのではなく、通り抜けられる場所に変え、オールジェンダーのトイレが点在している風景が新しい。トイレをデザインの力によって、誰もが入りやすく、日常的なものにしている。ユニバーサルという誰もが使いやすく生きやすい社会に対して、これからのトイレのあり方で一石を投じていることを評価したい」とコメントした。

 日本女子大学は以下のダイバ-シティ推進基本方針に則り、共に学びエンパワーしあう女子大学を目指して、これからも取り組んでいく。

参考:【日本女子大学】日本女子大学オールジェンダートイレが「2024年度グッドデザイン賞」を受賞 トイレのあたらしい選択肢に“よりみちオールジェンダートイレ”(PDF)

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創立120周年を迎えた2021年、目白キャンバスに全学部を統合。2023年に国際文化学部、2024に建築デザイン学部を設置、2025年に食科学部を開談予定(仮称、届出中)。「信念徹底」「自発創生」「共同奉仕」を理念として、高い専門的能力を有し、呼代の変化や多様[…]

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