日本学術会議幹事会は働き方改革の推進が叫ばれる中、研究者が働き方改革の実行と自由な研究時間の確保を両立できるよう求める声明を発表した。労働行政当局には働き方改革が研究時間の確保を損なわないよう配慮することを求めている。

 声明は幹事会会長の山際壽一京都大学総長ら幹事会メンバー16人の連名。それによると、働き方改革は長時間労働を是正し、労働者が多様な働き方を選択できる社会を目指しているが、学術研究は研究者の自由意思に基づく活動であり、組織的な指揮命令で遂行される一般業務と性格を異にしていると指摘した。

 長時間労働の是正が研究者の自由な研究時間確保を阻害することになれば、学術研究の停滞を招くばかりか、だれもが生きがいを持ってその能力を発揮する働き方改革の趣旨に反するとして、働き方改革と研究時間確保の両立が実現するよう求めている。

 研究者に裁量労働制の活用が進められていることについては、その趣旨が研究者の自由裁量で労働時間を設定することにあり、研究時間が週や月単位で一律に管理されるものではないと主張した。現実の裁量労働制が必ずしも学術研究の実態に即していない面もあるとして改善を訴えている。

 法改正で新たに設けられた高度プロフェッショナル制度に関しては、大学の研究者が対象から外れているが、今後は研究者の自由な学術研究に資する方向で検討を求めた。

参考:【日本学術会議】研究者の「働き方改革」と自由な研究時間確保の両立についての日本学術会議幹事会声明(PDF)

大学ジャーナルオンライン編集部

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