芝浦工業大学の重宗宏毅助教(工学部電気工学科)ら研究チームは、標準的なインクジェットプリンタで印刷後、紙が自律的に動き折り畳まれる方法を確立。自律的に立体構造が形成された後、動き出すソフトロボット(注)の開発に成功した。

 紙が自動的に折り畳まれ、折り紙構造を作り出す方法は、植物の駆動メカニズムを模倣したもの。紙のセルロース繊維と印刷する薬液の反応をエネルギーとし、折り畳み動作には、電力などの外部エネルギー源は不要だ。

 具体的には、インクジェットプリンタのインクカートリッジに薬液を入れ、紙に単純な直線を印刷することで、線を起点に紙が自動的に折り畳まれる。そして、濃度の違う薬液をインクカートリッジに設置することで、折り畳みの順序付けを可能にした。それに伴い、薬液の濃度と折り畳み時間の関係性についても解明した。カートリッジの数を増やすほど、より多くの動きを紙に対してプログラムできる可能性がある。

 構造や動きを印刷することで、柔らかくもろい製品の立体的な包装に活用したり、太陽電池パネルを常に太陽に向かせることでエネルギー収集量を増やしたり、技術の幅広い応用が期待される。

 研究チームは今後、今回発表した「紙が自律的に折り畳まれる方法」と、以前発表した「電気配線を普通のプリンタで紙に印刷する方法」の二つの技術を組み合わせることに取り組むとしている。どちらも一般的なインクジェットプリンタを用いた手法で、特殊な機材を必要としない。短時間で簡単に電子部品や紙製ソフトロボットなどの製作実現に取り組むという。

注:生体の皮膚や筋肉、関節等の「やわらかさ」を実現するロボット。

論文情報:【Advanced Intelligent Systems】Programming Stepwise Motility into a Sheet of Paper Using Inkjet Printing

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