地震などで倒壊した建物の下に取り残された生存者の小さな声を聞き分けるヘビ型ロボットが、京都大学や東北大学などの研究グループによって開発された。首都直下型地震や南海トラフ巨大地震など近い将来の発生が心配される災害救助で大いに役立ちそうだ。

 京都大学によると、このロボットは長さ約10メートルのホース型。先端部に能動スコープカメラが取り付けられ、数センチの狭いすき間に侵入できるうえ、がれき内の状態を見極めながらヘビのように進むことができる。特殊な超小型マイクも複数装着し、最新の音声抽出、強調技術を用いて騒々しい捜索現場でも生存者が発する小さな声を聞き分けられるようにしている。

 災害で倒壊した建物の捜索現場では、騒音で生存者の声がかき消されることが多かった。ロボットを使用するとしても、ロボットの振動に伴って発生するノイズが生存者捜索の邪魔になることが予測されていた。研究グループが熊本地震の現地調査に基づき、倒壊家屋のがれきを再現して調べたところ、実際に非常に小さい声を拾うことができたという。

 災害現場では生存者を発見するめどが一般に72時間以内といわれている。研究グループは今後も性能の向上を図り、災害救助システムとしての実用化を目指していく。この研究は内閣府総合科学技術・イノベーション会議の革新的研究開発推進プログラムの一環で進められ、京都大学、東北大学のほか、東京大学、筑波大学、早稲田大学、国立情報学研究所なども加わっている。

東京大学

明治10年設立。日本で最も長い歴史を持ち、日本の知の最先端を担う大学

東京大学は東京開成学校と東京医学校が1877(明治10)年に統合されて設立されました。設立以来、日本を代表する大学、東西文化融合の学術の拠点として、世界の中で独自の形で教育、研究を発展させてきました。その結果、多岐にわたる分野で多くの人材を輩出し、多くの研究成[…]

京都大学

「自重自敬」の精神に基づき自由な学風を育み、創造的な学問の世界を切り開く。

自学自習をモットーに、常識にとらわれない自由の学風を守り続け、創造力と実践力を兼ね備えた人材を育てます。 学生自身が価値のある試行錯誤を経て、確かな未来を選択できるよう、多様性と階層性のある、様々な選択肢を許容するような、包容力の持った学習の場を提供します。[…]

筑波大学

学際融合・国際化への挑戦を続け、知性と人間性を備えた人材を育成

学問文化の薫り高い国際都市、筑波サイエンス・シティの中核となる緑あふれる筑波大学。現在の教育体制は9学群・23学類、全ての分野から専門導入的な科目を履修することができ、創造的な知性と豊かな人間性を備えることをめざしています。師魂理才をもって、地球規模課題の解決[…]

東北大学

イノベーションの源泉となる優れた研究成果を創出し、次世代を担う有為な人材を育成

東北大学は、開学以来の「研究第一主義」の伝統、「門戸開放」の理念及び「実学尊重」の精神を基に、豊かな教養と人間性を持ち、人間・社会や自然の事象に対して「科学する心」を持って知的探究を行うような行動力のある人材、国際的視野に立ち多様な分野で専門性を発揮して指導的[…]

早稲田大学

研究・教育・貢献を3本柱に、「世界で輝くWASEDA」をめざし改革

早稲田大学は、「学問の独立・学問の活用・模範国民の造就」の3つの建学の理念に基づき、答えのない課題に挑む礎となる力を全学生が磨ける比類ない環境を整備。揺るぎない国際競争力を備えた世界トップクラスの大学「世界で輝くWASEDA」をめざし、「研究の早稲田」「教育の[…]

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