3つのキャンパスの個性を生かしながら大学としての発展をめざす

 また、東京あだちキャンパスには、文教大学の建学の精神「人間愛」が深化・具現化されています。建設にあたってのビジョンは、

【広げる・広がる】
地域に開き、地域に溶け込み学究のフィールドを広げるキャンパス

【深める・高める】
社会の課題や価値観に触れるさまざまな「場」を創り、優秀な人材を育む環境をつくる

【伝統から未来へ】
変化するニーズに応えるフレキシブル性を有し、かつ人々に親しまれ続けるキャンパスという3点から構成されており、既存2キャンパスをつなぐ中核的な拠点として、大学を50年100年先へとつなげる契機(将来的な備え)になっていくことが目指されています。

 さらに、設計のテーマとされているのが周辺環境との連続性です。学生はもちろん、教職員、地域住民など、多くの人に愛される開かれたキャンパスをめざし、大学から街へと広がる学びの風景「ラーニングランドスケープ」を描いていくため、3つの“わ”(地域・社会との“和”・人と人との対“話”・人と環境にやさしい循“環”)が、デザインの基幹となっています。

 加えて、「ラーニングランドスケープ」を描いていく、つまり「地域に溶け込む」ことを軸にデザインされた東京あだちキャンパスには、フェンスが設けられていないため、地域の住民の皆さんが構内に自由に出入りすることができます。現在のところ学食の利用が開放されていますが、今後は図書館の開放が予定されているほか、足立区と結ばれた包括協定にもとづいて、区民とのオープンな交流をベースとしたまちづくりへの参加も計画されています。

 

 

 学習面から見た新キャンパスの特徴としては、「みつける」「知る」「考える」「つくる」「広める」にフェーズ分けされている点が挙げられます。この5つのサイクルをまわす能動的学習支援の機能をもちつつ、ゆったりくつろげる空間で、学生の滞在時間を高めて学びを定着させていくのが、その狙いです。

 なかでも、快適な学習環境とキャンパスライフを演出するための仕掛けとして特徴的なのは、教育・研究ゾーンのラーニングコモンズと図書館のエリアです。建物内のメイン動線である通路上に学習スペースを配置し、自主学習や学生同士の交流を促進。3階は、じっくり落ち着いて学習準備をすることを目的にフォーマル・リラックスの2種類に分けられ、2階にはカジュアルに意見交換できる空間と、緊張感をもって相談しながら学習を進められる2種類の空間が設けられています。

 

 

 今後の展望としては、新キャンパスの開設を契機に、文教大学がこれまで培ってきた人材・知識・経験を、キャンパスの垣根を越えて融合させていくこと。そして、多様性と柔軟な発想をもって、3つのキャンパスがそれぞれの個性を発揮しながら、教育・研究での連携強化を推進していく。そうしたプロセスの成果として、総合力で発展していく大学へと成長していき、広く社会の発展に寄与していくことが期待されています。

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文教大学

大学ジャーナルオンライン編集部

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