尚美学園大学(埼玉県川越市)が、様々な業界人にインタビューした「プロが語る仕事論」の記事をお届けします。「芸術」「社会科学」「スポーツ」というユニークな分野の組み合わせを持ち、これまで多方面に人材を輩出してきた同大学から、各分野のプ口が仕事について語る記事が、学生に向けて発信されました。仕事の多様性と可能性の広がりを体現された方々の話には、未知の未来を持つ学生にとって将来のヒントとなるメッセージが込められていました。そのメッセージは学生に限らず様々な人に意義があると思います。そこで、全6回にわたり本記事を配信します。今回お話しを伺ったのは、ライター、エディター、コピーライターとして活躍されている秦レンナさんです。
【PROFILE】中学生の時からファッションジャーナリストに憧れを持ち、ジャーナリズムや文芸を学べる大学に進学。卒業後、出版社に入社。雑誌編集の仕事に携わるも激務で心身を壊し、ジュエリーブランドの販売職に転職。文章を書く仕事がしたいという想いが再燃し、新聞社やWeb制作会社でライター、エディターとして従事した後、2023年にフリーランスに。女性の多様な生き方や日常の中のセルフケア、美容、ウェルネスをテーマに取材・執筆を行うほか、コピーライターとしても活動している。
雑誌編集の仕事を一時離れたものの、
書きたい想いが強まって、ライターの道へ。
中学の時、ファッションジャーナリストの方に憧れるようになり、私も将来はランウェイを取材したいと思うようになりました。でも高校生になると、ファッションを取り巻く消費社会にモヤモヤを感じるようになって。もっとリアルな暮らしに根ざしたことを伝えていきたいという想いから、ジャーナリズムや文章を学べる大学へ進みました。卒業後、出版社に入って雑誌編集の仕事に携われたのですが、心身を壊してしまい、一時はジュエリー販売の仕事に転職しました。それでも「やっぱり書きたい」という想いが強くなって、新聞社で働き始めました。「新聞」という市井の人々の声を届ける媒体に関わるようになったこと、自分と社会のつながりを強く意識するようになったことをきっかけに、人生観が大きく変わり、「小さき声を届ける」「女性の生きづらさに光を当てる」という自分のテーマと出会えました。そこからWebメディアで発信する活動も始めました。その後フリーランスになり、ライター、エディターを軸に仕事をしています。
ライターとエディターは密接な仕事。
両方のスキルを身につけるのがおすすめ。
ライターやエディターは、人に興味を持ち、柔らかな視線と情熱さえあれば、誰でも目指せる仕事です。出版社や編集プロダクション、Web制作会社に入るのがスタンダードな方法ですが、紙媒体かWebかは、気にしなくて良いと思います。ライターとエディターは密接な関係なので、私は両方のスキルを身につけることをおすすめします。自分がどちらに向いているかは、仕事をやっていくうちに分かると思います。全体を俯瞰して調整するのが得意ならエディター、深く掘り下げるのが得意ならライターが合うと思います。また、ライターは「書く」ことより、「聞く」ことが大切です。高校生の時からでも人の話をていねいに聞く姿勢を意識したり、インタビュー番組などを通して「聞き方」を学ぶのが、とても良いトレーニングになると思います。

AIの時代に書く意味。
自分の視点を通して書くから「違い」が生まれる。
ライターやエディターになるために大学で学ぶのであれば、例えば社会学や心理学、ジャーナリズムなどは親和性が高いのではないでしょうか。「人間を学ぶ」ことがすごく良い気がします。今は生成AIで、それなりに文章ができてしまう時代です。だけど、人に話を聞くことは、人にしかできません。どんな言葉を引き出せるかは聞き手にかかっています。ネットに出ていない「生の声」を届けることにこそ意味があるはずです。私が聞くから話してくれることがあると信じています。「私の視点」を通して書くことで内容に違いが生まれると思うので、私自身そこに意味を持って仕事に向き合っています。大学時代には、いろんな「人」に出会うため、いろんな「場所」を持つこともおすすめです。大学や友達も大切ですが、アルバイトをしたり、旅に出たり、インターンやるのもいいかもしれません。世界を大学だけにせず、様々な経験をしておくことは、ライターの力をつける上でもとても大切だと思います。
経験した感情を言葉にして、書く力をつける。
本質を伝えられる人になってほしい。
ライターは、すべての経験が活きる仕事です。つらいことも苦しいことも、経験すればするほど深みのある文章が書けるようになります。だから良いことも悪いことも経験してほしい。その時の感情を文章に残しておけば、いつか自分を助けてくれますし、感じたことを言葉にする作業は、きっとあなたの力になります。嫌なことがあっても「ネタになる!」と思うことで私は何度も救われてきました。今は、SNSで「見られる」ことを意識して書くことも多いと思います。でも外向けに整えた文章は、中身が薄くなりがちです。どうか本質を伝えられる人になってください。本質は、きれいな表面ではなく、汚く、情けない、地味なものの中にこそあるような気がします。様々な人に会い、価値観に触れ、傷つき、「当たり前なんてない」と気づいた先に、書くべきことが見つかるかもしれません。だから、どんなことがあっても「この世界をめいっぱい味わおう!」という気持ちで日々を過ごしてみてください。
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