社会人向け共学大学院の東洋英和女学院大学大学院は、リスキリングやキャリアアップを支える場としても知られている。専攻のひとつが、人間科学研究科 人間科学専攻 幼児教育・発達臨床学領域。現役幼稚園教諭や保育士だけでなく、幼児教育に初めて触れる社会人も歓迎している。テレビ局に勤務しながら学んでいる修士2年の福地さんに、入学のきっかけや、大学院で得られた経験を伺った。

 

「残りの人生をどう歩むべきか」コロナ禍で気づいた選択肢

 福地さんの大学時代の専攻は理系分野。卒業後はテレビ局で長く報道に携わり、事件・事故現場や被災地、戦地などでの取材を経験した。幼児教育との接点がほとんどなかった福地さんは、なぜ「幼児教育・発達臨床学領域」で学ぼうと思ったのだろうか。きっかけは、コロナ禍で将来を考えた時間だった。

「50歳を過ぎた頃にコロナ禍になり、自分に向き合い考える時間ができました。まだまだ時間があると思っていた人生も折り返しを過ぎ、残りの人生をどう歩んでいくべきか考えたんです。このとき思い出したのが、児童相談所や児童養護施設に関するドキュメンタリー番組。その番組を見たときのことはよく覚えていて、定年後など近い将来に、子どもの支援に携わるような仕事がしたい、と思うようになりました」

 福地さんはまず、独学で保育士の資格を取得。勉強するうちに子どもに関わる仕事にますます興味がわいたため、幼児教育について本格的に学べる大学院を探し始めた。こうして行き着いたのが、東洋英和女学院大学大学院だ。

「授業が平日夜と土曜日に開講されていること。そしてオンラインでも授業が受けられることも魅力のひとつですが、先生や仲間と教室でディスカッションしながら創りあげていく英和の授業は学びがとても多く、私はできるだけ対面で参加するようにしています。国の専門実践教育訓練給付金が受けられるのも、入学の決め手でした」

 「専門実践教育訓練給付金」は、一定の条件を満たして修士課程を2年間で修了した場合に給付される。入学金と授業料の合計50%相当額が雇用保険から後日支給され、学費の負担が大きく下がる支援制度だ。東洋英和女学院大学大学院の修士課程は幼児教育・発達臨床学領域を含め、すべての領域が専門実践教育訓練給付金の対象講座に指定されている。

同期の存在が励みに。現場の声を交えて深まる学び

 授業ではディスカッションの機会が多く設けられている。先生の専門的な見解だけでなく、自分とは違う職種の同期たちの意見が聞ける貴重な場だと、福地さんは語った。

「大学院には私のようにこれまで子どもの支援や保育に関わってこなかった学生もいますが、多くは保育の現場でずっと働いてきた学生です。現場での事例や経験、想いなどを聞けるので、とても学びになっています。」

 研究について励まし合ったり、授業後は同期とご飯を食べに行ったりと、院生同士の交流も多い。年代の違いによる壁は、とくに感じないという。

「社会人になると、仕事以外で仲間ができる場は本当に貴重です。大学院での出会いや学びは私にとって大きな宝物で、入学してよかったな、と心から思います」

 学びの場は学内だけに留まらない。授業のない日曜日には、指導教員の西洋子教授が主催するワークショップに参加する。「表現することは生きることそのもの」として共創的な身体表現を実践するこのワークショップで、実際に多様な子どもたちに関わることで学びがより深まり、経験も積めているそうだ。

 入学前にも西教授のワークショップに足を運んだという福地さん。大学院合格後、教授たちの専門内容を改めて調べているうちに、ワークショップの存在を知った。

「ワークショップに行ったとき、『子どもの創造的な身体表現のパイオニアで、こんなに素敵な活動に20年以上取り組んでいる西先生のもとで、ぜひ学びたい』と思いました。そのため入学後は迷わず西先生のゼミに入って。知識も経験も豊富で、これほど素敵な西先生、そして西先生を慕って同じ志を持つ研究者の方々に出会えたのはとても大きな価値がありました」

子ども一人ひとりの力になりたい。大学院で広がった選択肢

 大学院入学に関して、不安がゼロだったわけではない。社会人大学院は通常の大学院に比べ、授業数も研究に充てられる時間も限られている。現役社会人であれば、仕事との両立も必要だ。しかしこうした不安は入学後になくなったと、福地さんは振り返った。

「社会人は仕事もしているので、本来の大学院生よりは学びに使える時間が少ないです。でも先生方は、社会人の経験が研究に活きるので胸を張っていい、と言ってくださいました。この言葉にはとても支えられましたね。実際にこれまでの経験がすべて、学びにつながっていると感じました。たとえば米国同時多発テロで米軍が侵攻したアフガニスタンを現地取材した時に見た、過酷な環境下でも人なつっこい表情を見せてくれた子どもたちの姿。今でも思い出しては、幼児教育の大切さを忘れないようにしようと思っています。」

 学びやすい環境にも助けられたそうだ。大学院生用の自習室や専門書が豊富にそろう図書館など、集中して勉強できる場が用意されている。

「私は、自習室で学ぶ時間も意識的に確保しています。平日もほかに予定がなければ仕事帰りに立ち寄って。家に帰ってしまうと勉強するのはなかなか厳しいので、授業の空きコマや講義がない日もなるべく自習室で学んでいます」

 子どもたちに関わる仕事をしたい、という入学当初の想いは、今でも変わらない。しかし将来の選択肢は、入学前よりも広がったという。

「もともとは定年後に児童相談所や児童養護施設でお役に立ちたいと思っていましたが、ほかにもさまざまな選択肢があるのだと知りました。たとえば保育園や幼稚園で発達障害のある子どもを支援するなど、幼児教育の専門性を活かして子どもたちを支援できる場所はたくさんあります。将来は何らかの形で子ども一人ひとり、その子にとって必要なことができるようになりたい、力になりたいと思いながら、学んでいる日々です」

 東洋英和女学院大学大学院はさまざまな職種の社会人を受け入れている。学びたい意欲を持つ人にとって、魅力的な環境だといえるだろう。

「私は入学してよかったと心から思っています。東洋英和女学院大学大学院は、年に何回も説明会や授業見学会があり、私も参加して、魅力を感じて入学を決めました。迷っていたら、そうした機会にぜひ参加していただければ、英和の魅力に気づいていただけると思います。」

東洋英和女学院大学大学院 幼児教育・発達臨床学領域 修士2年

福地さん

テレビ局勤務。報道の現場に長く携わっており、国内外さまざまな現場に足を運んだ。2025年度に東洋英和女学院大学大学院に入学し、現在は修士2年。

 

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