金沢大学は、2022年秋竣工予定の研究拠点「新産学協働研究所(仮称)」建設にあたり、2021年7月6日に安全祈願祭を行った。株式会社ダイセルとの協働で、セルロースをはじめとする脱石油につながる天然由来資源の有効活用(バイオマスプロダクトツリー構想)を実現する。企業から資金提供をうける民間資金活用(PFI事業を除く)での施設整備としては国立大学で最大級の規模であり、金沢大学では初の事例となる。

 金沢大学とダイセルは長年、セルロース分野を中心とした共同研究や相互の人材交流などを行っており、2018年7月に「産学連携の包括的推進に関する協定」を締結した。2019年7月には共同研究講座「先導科学技術共同研究講座」を大学院自然科学研究科に設置し、2020年12月に「新産学協働研究所(仮称)」整備等に関する覚書を締結していた。

 安全祈願祭と同日の共同会見で金沢大学の山崎光悦学長は「環境循環型社会実現のため、天然資源由来のセルロースを基盤とした共同研究を進めていくことになる。この新拠点で脱炭素社会・脱プラスチック社会に向けたオープンイノベーションを共に進めていきたい」と述べた。また、ダイセルの小河義美社長は「金沢は研究開発を進めるのに非常に適した土地柄だと思う。この拠点では、エンドユーザーも視野に他の機械メーカーとの連携も行い、産産学学の連携で新素材の実用化を進めたい」とあいさつした。

 「新産学協働研究所(仮称)」は、金沢大学とダイセルの協働のもと、バイオマスを活用したオープンイノベーション拠点として多くの民間企業や大学、研究機関とも連携した産産学学連携を推進するバイオマス研究の世界トップクラスの拠点形成を目指す。天然資源由来のセルロースを基盤としたオープンイノベーションにより新バイオマスプロダクトツリーを実現させることを目標とし、ファインセルロースの研究やセルロース常温溶解法による製造技術の開発を強力に推進。社会実装を目指す。

参考:【金沢大学】新産学協働研究拠点の安全祈願祭を挙行

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