政府が東京23区の大学定員抑制を打ち出している問題で、東京都の小池百合子知事は記者会見で定員抑制に反対する緊急声明を発表した。政府は近く、10年間の抑制を求める法案を閣議決定し、今通常国会に提出する方針だが、都はこれに反対するシンポジウムを開催し、抵抗する構えを示している。

 小池知事は政府が東京一極集中の是正を理由に23区の大学定員を抑制しようとしていることに対し、「ただでさえ地盤沈下が著しい日本の大学の国際的地位をさらに低下させかねない」と反発、「自治体に十分な説明もなく、大学がどうあるべきかという本質に目を向けていない」と政府の姿勢を強く批判した。

 地方創生については「東京対地方の構図をあおるのではなく、共存共栄で日本全国の発展につなげてくことが肝要」としたうえで「地方創生と国際社会を勝ち抜ける高等教育の実現に向けた真摯な議論を重ねていくことを求めたい」と述べた。

 定員抑制に反対するシンポジウムは9日、東京都新宿区の都民ホールで開かれ、小池知事のほか、教育評論家で法政大学特任教授の尾木直樹さん、タレントの「パックン」ことパトリック・ハーランさん、昭和女子大学グローバルビジネス学部長、特命教授の八代尚宏さんがパネリストとなり、政府の方針に対して意見交換する。

参考:【東京都】都知事記者会見

大学ジャーナルオンライン編集部

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