豊橋技術科学大学、韓国・釜山大学、生理学研究所、神戸大学の国際研究チームは、世界的なカンキツ害虫であるミカンキジラミに共生する細菌「プロフテラ」から、生物界に前例のない新たな管状構造を発見した。害虫防除戦略や生命進化の研究に大きな展開をもたらす可能性があるという。
ミカンキジラミは、世界のカンキツ産業に深刻な被害をもたらす農業害虫だ。腹部の特別な器官に共生する細菌プロフテラは、毒性物質によりミカンキジラミを天敵から守っており、ミカンキジラミ防除の標的となり得る。しかし、細菌の全体像や三次元的な配置、構成成分は不明だった。
研究チームは多様な顕微鏡技術を駆使し、プロフテラの内部構造を解析。その結果、細胞は太さ約2μmで、長さは最大136μm以上と極めて細長く、最大45μmにも及ぶ長大なチューブ状構造を多数(1細胞あたり1〜43本)持っていた。
チューブは直径約230nm、5~6本の繊維が右巻きにねじれたらせん状構造で、細胞体積に対して一定の割合を占め、安定で強固な構造と判明。さらに、チューブはDNAを含む「核様体」ではなく、プロフテラ自身のリボソームを多数含む構造と分かった。
以上から、このチューブ状構造はプロフテラの細胞小器官(オルガネラ)と定義でき、リボソームを用いたタンパク質合成に関与し、長大細胞を機械的に支持し、物質輸送の足場としても機能する可能性がある。
一般に細菌はオルガネラを持たないため、これは細菌におけるオルガネラの稀有な発見例となる。生物進化における細胞構造の発達を理解するための新たな手がかりであり、また宿主ミカンキジラミの選択的防除法開発の基盤としても期待されるとしている。
