宮崎大学と宮崎市の共同研究グループは、あぶらとりフィルムを用いて採取したネコの皮脂から、感染症ウイルスのRNAを検出することに成功した。
ネコが感染する重症熱性血小板減少症候群(Severe Fever with Thrombocytopenia Syndrome:SFTS)や猫後天性免疫不全症候群(Feline Immunodeficiency Virus:FIV感染症、いわゆる猫エイズ)などのウイルス感染症は、近年大きな社会問題となっている。特に、人獣共通感染症であるSFTSは、宮崎県をはじめ各地で感染者が報告されており、ヒト・ネコいずれにおいても高い致死率を示す。
一方、ヒトでは既に、皮脂をあぶらとりフィルムで採取し感染症ウイルスのRNAを検出する、非侵襲な評価技術の研究が進められている。従来のネコの検査では、注射針を用いるためネコへの負担が大きいほか、検査者にも感染リスクやけがの危険が伴う。そこで研究グループは、ネコでも皮脂中のRNAを利用できるかを検討した。
ネコの複数の部位からあぶらとりフィルムで皮脂を採取し、RNA検出感度や採取の容易さを比較した結果、耳が最も適した部位であることがわかった。また、偽陰性を防ぐため、ネコ皮脂からのRNA検出感度が高く、ヒトやネコのDNA/RNAと識別可能なハウスキーピング遺伝子プライマーを新たに開発し、皮脂からハウスキーピング遺伝子の増幅を確認するステップも取り入れた。
その結果、あぶらとりフィルムから抽出したネコの皮脂からSFTSウイルスおよび FIV(猫エイズウイルス)のRNAを検出することに成功した。さらに、血清由来の検査結果と皮脂由来の結果に大きな差がないことも確認された。
本研究により、あぶらとりフィルムを用いた検査法が従来法と同等の信頼性を持つことが示され、ネコのウイルス感染症をより非侵襲的かつ安全に評価できる可能性が示唆された。診療現場での負担軽減や感染リスク低減にもつながることから、研究グループは今後、この検査法の最適化と普及を進め、幅広い現場での活用を目指すとしている。
