順天堂大学と西葛西・井上眼科病院、近畿大学の共同研究グループは、セルフチェックツールや問診で評価した視野異常が交通事故経験と関連することを明らかにした。
視野異常は、視野の一部が欠損または狭窄することで、交通事故リスクを高める要因となることが報告されている。代表的な原因疾患である緑内障は、視力が保たれているため自覚されにくく、進行に気づかないまま運転を続けるケースが多い。
本研究では、首都圏に勤務する1,227名のタクシードライバーを対象に、視野異常と交通事故との関連を検討した。簡便に視野異常をセルフチェックできる視野チェックシート「クロックチャート」による所見と、緑内障患者が運転中にしばしば経験する「ビックリ箱現象」(歩行者が突然目の前に現れる、あるいは消えるといった体験)の有無を問診で評価し、過去5年間の交通事故経験の有無も調べた。
その結果、「クロックチャート」で初見があり、かつ「ビックリ箱現象」を有する人は、いずれもない人と比べて交通事故のリスクが1.22倍と有意に高いことが判明した。さらに、「クロックチャート」による視野異常が確認され眼科を受診した71名のうち、14名(19.7%)が新たに緑内障と診断された。これにより、「クロックチャート」や「ビックリ箱現象」による評価は、交通事故リスクに関連するとともに、緑内障の早期発見にも有用であることが示された。
本研究の成果は、セルフチェックツールや問診の活用が、視野障害に起因する交通事故予防および緑内障の早期発見に貢献する可能性を示すものである。現在、トラック・バス・タクシーなどの職業ドライバーに義務づけられている健康診断項目は視力検査のみであり、視野検査は含まれていない。今後、セルフチェックツールや問診の有効性をさらに検証し、視野障害のスクリーニング体制に応用することで、交通事故削減につながると期待される。
