横浜市立大学大学院の高橋琢哉教授らの研究グループは、新型コロナウイルス感染症罹患後症状(Long COVID)の認知機能障害、いわゆる「ブレインフォグ」に「AMPA受容体」が関わることを初めて明らかにした。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の罹患後症状(コロナ後遺症)には、記憶力や判断力が下がるなどの認知機能の低下は頭にもやがかかったように感じられる「ブレインフォグ」を呈する人がおり、就学・就労などの社会生活や日常生活の大きな妨げとなっているとされる。罹患後の脳機能異常に起因すると考えられるが、その発症メカニズムは不明だった。
研究グループは、精神・神経疾患を対象としたこれまでの研究結果から、記憶や学習に深く関わるAMPA(アンパ)受容体量の発現バランスが破綻(変化)しているのではないかと考えた。AMPA受容体は、グルタミン酸と結合し、神経細胞同士の情報伝達の場であるシナプスに多く存在するイオンチャネル共役型受容体だ。
そこで今回、ブレインフォグの患者30名を対象に、同研究グループが開発したヒトの脳内でAMPA受容体を観察できる新しい技術([11C]K-2 AMPA受容体PETイメージング)を用いて、脳内AMPA受容体の変化を調べた。
患者のPET画像を健常者のPET画像と比較したところ、AMPA受容体の量が脳の広い範囲で増加していた。さらに、AMPA受容体の量が多いほど、一部の認知機能スコアが低かった。また、感染などで濃度変化する炎症性マーカーの一部で、その濃度が高いほどAMPA受容体の量が増加したり、逆に減少したりする関係性を示した。
今回の研究結果により、Long COVIDの認知機能障害「ブレインフォグ」を脳の変化に基づいて診断・治療を行うことができる可能性があるとしている。
