インフルエンザによる学級閉鎖が経済的に困難な家庭の小学生の学力(算数)に悪い影響を与えることが、早稲田大学教育・総合科学学術院の及川雅斗講師、政治経済学術院の別所俊一郎教授、野口晴子教授、人間科学学術院の川村顕教授、東京大学社会科学研究所の田中隆一教授の研究で分かった。

 研究グループは首都圏のある自治体が保有する全公立小中学校の行政データを用い、2015年から2017年の3年間にインフルエンザによる学級閉鎖を経験した小中学生が、どんな影響を受けたのか分析した。

 それによると、学級閉鎖は経済的に困難な家庭の児童の算数の成績に有意な悪い影響を与えた。この傾向は特に男子で顕著であり、学年末に近い2月~3月の学級閉鎖の方が、より大きな影響を与えていた。また、中学生では学力への悪影響は観察されなかった。

 学力低下のメカニズムとしては、学級閉鎖により授業時間が失われるだけでなく、経済的に困難な家庭の男子児童がテレビやゲームに費やす時間が増え、睡眠時間が減る傾向にあり、それが学力低下につながった可能性がある。

 一方で、教員歴の長い教員の指導が児童生徒の学力低下を緩和する可能性も示唆されたが、本研究では、学力低下の要因が感染症による健康悪化によるものか、単純な授業時間の減少なのかを切り分けられていない。また、テレビ視聴やゲームで遊ぶ時間が増え、睡眠時間が減るなど生活習慣が大きく変化したことに注目したが、友人関係や家庭内のストレスといった他の要因が関わっている可能性もある。

 子どもたちの学びは学級閉鎖やコロナ禍などさまざまな要因で中断させられるリスクを抱えている。研究グループは今後、より詳細な学力低下と学級閉鎖の因果関係を調べ、公的な教育支援プログラム設計の根拠としたい考え。

論文情報:【Journal of The Japanese and International Economies】Do class closures affect students’ achievements? Heterogeneous effects of students’ socioeconomic backgrounds

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