東邦大学と東京都立松沢病院などの共同研究チームは、日本の高校生のスマートフォン(以下、スマホ)依存傾向を、ゲーム・動画・SNSのアプリケーション(以下、アプリ)ごとに分析し、それぞれの心理的特性と使用動機の違いを明らかにした。
研究対象は日本の高校1年生246名(年齢中央値16歳)である。スマホ使用時間は平日で中央値5時間、休日で中央値8時間だった。依存傾向は、動画視聴26.4%、SNS利用20.7%、ゲーム19.5%に認められた。
これら3種類のスマホ依存傾向の関連因子を比較分析したところ、共通して「感情調節目的の使用」が関連していることがわかった。思春期は情動調節能力が発達途上にあり、「不快な感情の対処手段」としてスマホを利用することで短期的な安堵が得られる一方、依存形成につながる可能性があるという。
アプリごとに異なる特徴もみられた。ゲーム依存は男性に多く、抑うつや暇つぶし動機と関連しており、気分低下に対する代償的な利用が示唆された。動画依存は不安や衝動性(ポジティブ・アージェンシー:ポジティブな情動に応じて衝動的に行動する傾向)、忍耐欠如と関連し、不安の軽減や即時的な報酬を求める視聴行動が強化されていた。SNS依存は女性に多く、抑うつ、楽しみ目的、熟考欠如と関連し、娯楽目的の無計画な使用の反復が依存形成に寄与していた。
本研究は、スマホ依存が単一の現象ではなく、共通する「感情調節の未熟さ」とアプリごとに異なる心理的背景が組み合わさった多面的な構造であることを示した。今後の支援には、心理的特性や使用動機に応じた個別的・柔軟な介入が必要だとしている。共通の対策としては感情調節スキルの向上、ゲーム依存には抑うつへの心理的介入、動画依存には不安対処、SNS依存には娯楽目的の無計画な使用反復の自己制御支援が有効と考えられる。
