東京大学、帝京大学、専修大学の研究グループは、顔から他者の信頼性を判断する際の正確性とバイアス(偏り)を高齢者と若年者で比較し、高齢者が第一印象で他者を信頼しすぎるというステレオタイプ的な見解が妥当でないことを示した。
顔による信頼性判断については、加齢とともに他者を信頼しすぎるバイアスが強まり、それが高齢者の詐欺被害リスクを高めている可能性が指摘されてきた。しかし、この主張を直接裏付ける科学的根拠は乏しかった。
そこで研究グループは、日本人とイギリス人を対象に、若年者(18~30歳)と高齢者(65~80歳)の間で顔による信頼性判断の正確性とバイアスを比較する実験を行った(一部の実験では、40~55歳の中年者も対象とした)。ゲームでどの程度協力的に振る舞ったかや、汚職による有罪歴の有無がわかっている男性の顔画像を用い、若年者と高齢者の間での信頼性判断を比較した。
その結果、非協力的な人や汚職歴のある人とそうでない人を識別する正確性は、全体として低いものの(正答率平均55%前後)、相対的には高齢者の方が高いか、世代間で差がないことが示された。また、「信頼できない」と判断しやすいバイアスが若年者で一貫して認められた。
今回の結果から、高齢者が他者の信頼性を顔から過剰に肯定的に見積もっているというステレオタイプ的な通説は妥当ではないと考えられるという。背景には、中立的な科学的知見を、若年期を基準に「高齢期に問題が生じる」と解釈しやすい、無意識的なバイアスが関係している可能性を指摘している。

